RUFAL

RumenUnsaturatedFattyAcidLoad

定義(引用1,2より)

これはDr.Tom Jenkinsの提唱したパラメーターで「給与飼料中の不飽和脂肪酸の合計(C18:1,C18:2,C18:3)」を示すものです。ルーメンの発酵変化のリスクをウォッチするためのものです。

なぜRUFALを見ることがルーメンの発酵変化、つまりは乳脂肪低下リスクのモニターになるかというと、、、、

ルーメン内に入ってきた飼料中の脂肪って大体は中性脂肪(トリグリセリド)の形態をとっていて、ルーメン内の微生物のリパーゼでグリセリンと脂肪酸×3にそれぞれ分解されて、脂肪酸は長鎖飽和脂肪酸ならそのまま下部消化管へ流れていきます。

が、長鎖不飽和脂肪酸の場合はそもそもこれがルーメン微生物に対して有害で、多すぎると発酵を阻害してDMIを低下させたり、セルロース消化率を低下させます。

また長鎖不飽和脂肪酸をルーメン微生物が水素添加して飽和脂肪酸に変換するのですが(水素添加は解毒機構の1種ではといわれている)、あまりに量が多いと微生物の処理が追い付かずに(アシドーシスだとさらに処理能力低下)共益脂肪酸(CLA)が出来て、一部のCLAが乳腺での脂肪酸合成を阻害して乳脂肪の低下に繋がる・・・

詳しくはこちら

ってことで長鎖不飽和脂肪酸の量が多すぎると良いことない&牛に給与出来る不飽和脂肪酸の量には限りがあるので、その量を見たらいいのではということでした。

目安

Dr.Jenkinsは飼料中の乾物濃度で3.5%以下を暫定の目安と推奨してます(引用2)。例えばDMI22kgなら770gです。

ちなみにAMTSだと1頭500g以下/日が推奨になっています。https://s3.amazonaws.com/cdn.agmodelsystems.com/assets/81/dairy-evaluation-matrix-2015.pdf

足りないパラメーター(引用1,2)

これは単純に1日あたり給与される飼料中の不飽和脂肪酸の合計の総量なので、原料からどのくらいの速さでルーメンに油が溶け出すかという速さが加味されていません。

Dr.Jenkinsもこれには言及していて、たとえばDDGSなどはルーメン内に脂肪の流出が早いけど、加熱処理大豆やバイパス処理した脂肪などはルーメン内への脂肪の流出がゆっくり、もしくは少ないだろう、そのため一律にRUFALの数値だけでは一概に言えないということです。やっぱり流出が早くてドバっと一気にくる方がルーメン微生物へのダメージは大きく、緩慢にじわじわとにじみ出てくるような場合はダメージは少ないと考えられます。

あとは、エクストルーダー処理大豆なんかも、エクストルード処理で細胞壁が壊れていますので、油の流出が早いと考えられています。

彼はこの”速さ”のパラメーターについても現在研究中とのこと。

雑記

加熱処理大豆など使うと余裕で700g位/day/headになりますし、そういった設計ですと外のコンサルの先生に不飽和脂肪酸が多すぎないかと突っ込まれたりします。ただ原料形態によって流出レートが異なるので、全粒の油糧種子の場合は500g/day超えてもこれで乳脂肪低下に繋がったケースはほぼない感触です。

おそらく油分の多い副産物を使う際などには良い目安になりそうです。(私はあまり副産物を使った設計を組むことがなく、こちらについては感触は分かりません・・・)

速さについても新しいパラメーターが追加されてパワーアップするのが楽しみです。

引用1:Fatty acid digestibility and dairy cow performance.WCDS Advances in dairy technology.2017.29.123-134

引用2:Fatty acid forum.the meaning of RUFAL value

http://www.fattyacidforum.com/wp-content/uploads/2020/01/RUFAL-What-it-IS-and-What-it-is-NOT-%E2%80%93-Dr.-Tom-Jenkins.pdf

引用3:DairyJapan社 乳牛栄養学の基礎と応用P75

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