最近、基本をしっかり押さえることの重要性を改めて認識しています。初乳もそのひとつ。
親の初乳ってどんな乳?!(黒毛和種)
ホルの場合、初乳を搾乳するので、その初乳をBRIX測定しIgG濃度が一定以上のものを子牛に初回の初乳として給与する事が一般的になってきていますよね。おおむねBRIX19%でIgG50g/L程度であるといわれるものです。
日本のデータはこちら。

メタボリックエコシステム研究所の単純放射免疫拡散 (SRID)
海外のはこちら↓ Colostrum(初乳)参照。多少日本のものとずれるけど、大まかには同じ感じです。

では黒毛和種の親の初乳のIgG濃度、またその目安となるBRIXってどのくらいが標準なのでしょう?
日高振興局でこんな資料が出されていることをNOSAI北海道の上野先生に教えていただきました。
黒毛の親を搾乳するってめっちゃ大変なのに、調べた心意気、調査された日高の皆さまに敬意を表します。
リンク: 黒毛和種の初乳中抗体を糖度計で確認してみませんか – 日高振興局産業振興部日高農業改良普及センター (hokkaido.lg.jp)
黒毛の平均的な初乳IgGは150g/L程度で、その時のBRIXは25%だそうです。

ちなみに日高での実際の測定の幅はこれくらいあったようです。(全58頭)
黒毛の場合、親の初乳を搾るのも容易ではありませんが、👇下記の日高のデータを見ても、結構ばらつき有りますよね。。。

ちなみに👇新子牛の科学にも、黒毛和種初乳の乳量とIgG濃度について記載があります。
黒毛の初産のIgG濃度は記載ありませんでしたが、黒毛経産の初乳中平均IgG濃度は160g/Lとほぼ日高と同じ値です。やはり一般的にこのくらいの数字なんですね。
そして、注目すべきは1回目の初乳量!!驚きました。黒毛の初産ってこんなに少なかったのね?!?!?!?!黒毛の経産ですらこの量です。ただし、本当に1回目の搾乳のみとのことで、おそらく子牛は生後24時間以内に2-3Lは飲んでいるものと思われますが‥‥。
でも和牛の場合、本当に初乳をおろしているのか、初乳を搾り切ることが可能なのか?という疑問もあります。。。オキシトシン打ってても、絶対バケットミルカーとかで搾るの嫌がるやろ…。。
それにしても、ホルスタインとはIgGの量も段違いに多いです。キットの色々の違いはあるけど、ざっくりホルより倍以上あるのは間違いないでしょう。

きちんと初乳飲めているか?(黒毛和種)
黒毛のお母さんの初乳は非常に濃いことは分かりました。
ただし親付け哺育の怖いところ、どのくらい実際飲んでいるのかわからない、実際足りているの?という点を確認するにはどうしたらいいか。。
生後2-3日齢の子牛を採血し、血中のIgG、TP、BRIXを測定することで評価することが出来ます。
注意すべきはホルスタインの換算式や指標ではなく、黒毛和種用の換算式と指標を使うべき。
とすると、👇下記のいくつかの日本の研究・調査をもとにすると、完全に初乳給与が親付けの場合は、血中IgGを30g/Lを目指すのであれば生後2-3日の血中TPは5.5g/dl以上、BRIXは8.7%以上、が妥当なようです。

黒毛和種子牛の場合、血中IgG30g/Lを目指すべき、そしてそれにはどのくらいのIgGを給与すべき?というのは、池田先生のコラム👇👇👇
獣医/分娩の管理(14) – … | タイセイ飼料株式会社 (taiseishiryo.jp)
がめちゃめちゃわかりやすいので、こちらを参考にしてください!
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