以下は、https://www.calfnotes.com/new/en/2021/04/04/calf-note-224-predicting-dry-feed-intake-in-calves-to-4-months-of-age/ を翻訳したものです。原文著者Dr. Jim Quigley の許可を得て日本語訳を掲載しています。 引用論文の出典元は原文をご参照ください。
総括 4か月齢までの子牛の飼料摂取量予測が、日齢と、代用乳給与量、体重からかなりの精度で予測可能に!計算式は複雑だから、このExcel使ってな・・・こちら
※代用乳のME値が必要なので、餌屋さんに計算してもうのがいいかもです!
※うちのユーザーさんであれば、ご要望あればいつでも私が計算しますyo!
以下翻訳です
はじめに
動物の摂取量を正確かつ的確に予測する能力は、適切な飼料設計と栄養管理の基本です。
ある動物(ここでは子牛)が一定期間に食べる飼料の量を合理的に予測することは、子牛のスターターやミルクの給与量を設定したり、幼い子牛がいつ離乳できるのかを判断したりするのに不可欠です。
また、代用乳給与体系、日齢、環境、給与するスターターや粗飼料の影響 を理解しなければなりません。 そのため、離乳前・離乳後の固形飼料摂取量を予測しようとした研究はほとんどありません。
子牛が小さいうちは、固形飼料をほとんど、あるいは全く食べず、代わりにミルクや代用乳で全ての栄養素を賄っています。 ある時点で、子牛はスターター=飼料であることを学び、栄養(特にエネルギー)を補うために、摂取量を増やしていきます。 子牛が離乳すると、それまでミルクで供給されていた栄養素を補おうとするため、固形飼料の摂取量が劇的に増加します。
Provimi North America(Cargill, Inc.の一部門)の研究グループは、生後3日から4ヶ月までの子牛の固形飼料摂取量を予測する重要な論文をJournal of Dairy Science誌に最近発表しました。
筆頭著者である私(Jim)は、アメリカとヨーロッパの子牛を対象に、様々な給餌条件で毎日行われた60,000データの摂取量の観察結果を収集、分析、統合、発表するチームを率いる機会に恵まれました。
ここでは最も重要な方程式と、固形飼料摂取量を予測する際の使い方を紹介したいと思います。
研究内容
生後3日目~114日目までの子牛1,235頭の毎日の固形飼料摂取量を収集しました。
データはオハイオ州、ミネソタ州、オランダにあるカーギル社の施設からのもので、アイオワ州立大学で行われた3つの試験のデータも含まれています。
子牛は、牛乳または代用乳(粉として454g/d ~ 1kg/d 以上)を与えられ、28 ~ 64 日目に離乳しました。 水も常時置かれ、スターター(ペレット状)は常に自由に食べられるように不断給餌しました。
結果
乾燥飼料摂取量(DFI)を1日あたりの量(kg)で表すと(図1↓)、生後1週間目の0kg/dから、4ヶ月目には4kg/d以上に増加しました。
最初は増加率が低かったが、ほとんどの子牛が離乳する5週目と7週目に増加しました。

DFI を体重に対する割合で見てみると(図 2↓)、日齢と DFI の関係が曲線的であることがよくわかります。
生後 2 週間の子牛の摂取量は BW の 0.5%未満でしたが、離乳期には DFI が増加し、65 日齢では BW の約 3%と、DFI が最大となりました。

摂取量のパターンは、kg/dまたはBWの%で表すと明確な曲線パターンを示したので、DFIを予測するために様々な形式の方程式を検討しました。
1つ目は、ゴンペルツ式、指数式、ロジスティック式などの非線形式、
2つ目は、線形モデルを使用し、多項式の係数を含むものでした。
その結果、非線形モデルの方が多項式モデルより実際の摂取量をより正確に予測することができ、中でもゴンペルツ式が最も優れていることが分かりました。
これは、動物、植物、バクテリアの成長予測に非常に正確に使われてきました。 DFI は若い子牛の成長と密接に関係しているため、このアプローチが妥当な摂取量の予測につながることは理にかなっています。
DFI を予測する上で最も重要な要素は、子牛の日齢、消費したミルクの量(消費したミルクの量が多ければ DFI は少なくなる)、体重と 1 日あたりの増体量、環境温度、および粗飼料摂取量と繊維比率などでした。
しかし、気温と飼料の特性は、統計的に有意ではあるものの、DFI の予測を劇的に変えるものではありませんでした。 したがって、より複雑な方程式と比較して、単純な方程式でも同じように予測できる可能性があります。
DFI を「1日当たりの摂取量: kg/d 」で予測する方が、「体重当たりの摂取量:% of BW」 で予測するよりも正確であることがわかったので、 ここでは kg/d のデータのみを紹介します。
ミルク摂取量、BW、ADGを “MEgap “という1つの変数にまとめました。
この変数は基本的に、ある日の子牛の ME 要求量から、牛乳または代用乳で供給された ME を差し引いたものです。
つまり離乳後は、MEgap は単に子牛の ME 要求量となります。
飼料摂取量予測式
DFI (kg/d) = 1.3207 × e[(-5.3892 + 0.6376 × MEgap) × EXP(-0.0392 × Age)] – 0.0013 × 温度 + 0.0032 × NDFDM + 0.0026 × Age × MEgap – 0.3646 × PctForage
DFI (kg/d) = 1.4362 × e[(-4.6646 + 0.5234 × MEgap) × EXP(-0.0361 × Age)] + 0.0025 × Age × MEgap
式の要素は以下の通りです。
MEgap:1日の代謝可能エネルギー(ME)要求量と代用乳からのME摂取量の差。
計算方法は以下の通り
MEgap = (0.1×BW0.75 + 0.84×BW0.355×ADG1.2 )-MEI
BW = 予測日の子牛の体重(kg)
ADG=目標ADG、0.2~1.2kg/dの範囲で設定
MEI = 牛乳または代用乳からのME摂取量、2001年のDairy NRCに従って算出
MEgapが負の場合は0に設定されます。
Age = 子牛の年齢(日)、3~114
Temp = 一日の平均気温 (°C)
NDFDM = 飼料中の中性デタージェント繊維(% DM)
PctForage = 飼料のDMに占めるフォレージの割合
これらの式をDFIの予測に導入するのは比較的簡単です。
予測式を実装する方法を示す簡単なExcelスプレッドシートを用意しました。こちら
まとめ
次回のcalnote#225以降で、各変数の生物学的な意味合いと、子牛の日齢に応じて DFI がどのように変化するかを確認していきます。
これらの方程式は、生後 4 ヶ月までの子牛のために飼料摂取量の予測に役立ちます。
これらの方程式を使うことで、子牛がどのくらい食べるか、いつ離乳の準備ができるかをより正確に予測することができ、栄養要求量を満たすために固形飼料をより適切に給与することができます。
これは重要な論文であり、私のベスト論文のひとつです!
翻訳終了
Dr.Jimの渾身の力作!でも式はめちゃ難解だからExcelのスプレッドシートを使おう・・・
いや、Jimって本当に凄い何が凄い、ってこの翻訳元のcalfnoteというサイトもずーーっと運営して最新の情報提供をしてるし、現役バリバリでこういうガチの研究もやってる、すごい。
私のブログでは順番が逆で前回#225をすでに紹介してしまいましたが、生後4か月まではスターターの摂取量(固形飼料摂取量)は、日齢とMEgapで計算できる!という内容でしたよね。
代用乳の給与体系組むときに使えそう~ワクワク♡
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