今日は改めて栄養素としての1番最初にくる「水」についていくつかの記事をご紹介します。
牛の栄養を語る上で何をおいても1番は水!!!
①牛の飲水量は1日75-100L、夏は200L。搾乳後1時間以内に1日飲水量の3-5割の水を飲む
②水質の良く清潔な水を供給することが大切、水槽掃除は1日1-2回はやる価値あり。
③群飼の場合は水槽が足りてる?(水槽の3辺、牛がアクセスできる長さ)確認!1頭分は10cm
1.水の重要性を見逃さないで!(Dairyherd.2021.7.1号)
以下引用開始
水は、乳牛の飼料の中で最も安価で最も重要な栄養素です。
しかし、その清潔さと水を飲みやすいか、という点は見落とされがちです。
ペンシルバニア州立大学の酪農普及担当であるCarly Beckerによると、牛の大きさ、乳量、摂取する飼料の量、環境の温度と相対湿度、飲み水の温度、水の品質とアクセスのしやすさ、飼料の水分量が、牛が1日に飲む水の量に影響を与えます。
したがって、すべての牛に十分で清潔な水を供給できるようにすることは、重要な管理項目です。
飲水スペースの推奨事項
・牛1頭あたり2~4インチ(5-10cm)の水槽周囲長が必要 (※つまり水槽が1800mm*400mmなら180+40+40=260cm/10cm=26頭分/1水槽 と考えて良い)
・最適な水槽の高さは24~32インチ(60-80cm)
・水の深さは最低でも3インチ必要(7.5cm)
・強い牛が水槽を独り占めしないよう、ペンごとに少なくとも2つの給水場所を設ける
・グループ内の20%の牛が一度に水を飲めるように、水場は十分なスペースを設ける
・水槽は餌槽から50フィート(15.3m)以内、またはフリーストール牛舎ではクロスオーバーごとに設置
・搾乳から戻った後、すぐに水にアクセスできること
・未経産牛は20頭につき1つの適切な大きさの水槽を利用できること
大事なポイント
・牛は搾乳後1時間以内に1日の総水分摂取量の30%から50%を飲む
・搾乳牛は1日に30~50ガロン(114-190L)の水を飲む、暑熱ストレス下は倍増
引用終了
水槽はフリーストール1群に3個あるから足りてるでしょ、とか、そういうざっくりした枠で捉えがちですが、水槽の周囲長は何センチ?それを10cmで割ってみると、何頭分になる?改めて計算してみてはいかがでしょうか。
水槽増やしたり、つなぎだと水の配管大きくすると乳量増えるってあるあるだものね。
2.水場の設定と水槽推奨(Dairyland initiative)
今度はDairyland initiativeという畜舎設計などの参考になるサイトから水場の設計についての情報をピックアップして箇条書きにします。
引用開始
水の重要性と給水速度
・乳牛は通常、1日に約10分は水を飲み、約30分は水槽の近くで過ごす(そのためこれらのエリアは混雑しやすく、牛同士の競争も起こりやすい)
・水の摂取量は様々で、通常、牛1頭あたり1日平均20~30ガロン(76~114リットル)程度。暑熱時は牛1頭あたり50~60ガロン(189~227リットル)に増えることがある
・フリーストールでは、特に搾乳後に牛が同時に水を飲む傾向があるため、水の供給速度を少なくとも1分間に6~7ガロン(23~26.5リットル)にすることが重要
水槽の推奨
・現在の推奨では、(1)牛1頭あたりのアクセス可能な水槽の周囲を9cm(3.5リニアインチ)確保(2)グループごとに少なくとも2箇所の給水場所を設ける ※10頭以下のグループでは、1つの水源でもOK
・水槽周囲に牛が溜ってしまわないことが大事=牛の流れは非常に重要: 牛の動線を良くするために、水槽周囲は少なくとも3.7 mの通路幅を確保
・ホルスタインでは水槽の高さは61-81cm、ジャージーでは53-74cm
・水槽の土台に牛が足を掛けるのを防ぐため、土台は水槽本体から15cm以内の大きさ
・水槽に足を入れるのを防ぐためのガードレールは61cm以上の高さに設置:ただしきちんと適切な給水スペースが確保できればこの行動は減る
引用終了
3.乳牛のための水質検査の解釈(ペンシルバニア大)
乳牛が飲んでいる水の水質、検査したものの、推奨値ってどれくらい?って聞かれることがあります。こちらを参考にしてください!一応、井戸水の場合は年1回程度定期的な調査をお奨めされています。
Dairyherdの別の記事によると成績の良い農場では水質に問題が無いことが多いようですが、成績が安定しない農場では水質に問題がある事もあるようです。。。ちなみに記事のアメリカ、サウスダコタ州では硫酸塩濃度が問題になることがあり、古代の海洋地形から取り残された大量の硫黄が原因だそうです。たしかにアメリカの記事ではよく、井戸水の硫酸塩濃度が高い農場ではDDGSの多給は避けるように(硫黄が多く含まれるので)なんてことも書いてありますね。

引用開始

引用終了
まとめ
牛群の健康とパフォーマンスの最大化には水質が良いことも非常に重要であり、
概ねこの1と2の記事からも、
①牛の飲水量がいかに多いか(基本は100L程度、暑熱時はその倍)
②フリーストール、フリーバーンでは、水槽が足りているかは頭数あたりの個数ではない、その水槽の周囲長と頭数の比率、きちんと足りているか計算してみよう(1頭あたり10cm目安)、ということが言えます。
水槽に前足入れる牛が多い農場ってありますよね、これ、上記の記事では飲水スペースが十分確保されればこの行動はある程度抑えられるみたいなことが書いてあったけど、本当にそうなんだろうか。気になる。

コメント
水は乳量を決定する際、乳糖以上に必要な栄養素ですね。
以前水質を保健所に依頼して、調査し(その時は鉄分含有量と慢性炎症でした、なんせ昔住んでいたアパートが水が悪くて、子供が病気ばかりしていて、その影響もありましたが)したことがあります。
また尿石症が多発した農場でも井戸水のPHがアルカリすぎないか等々、・・・
今回の情報からあるフルーストールロボット搾乳でかなり過密の農場のこと思い出しました。
そういえば、過密でも水槽の増設等していませんから。
もしかすると増設したらいいかも? 早速話してみます。ロボットですから余計水は重要です。
いつもタイムリーな情報をありがとうごさいます。
お会い出来たら、夏場に牛群が軟便になるのは、飲水の影響があるのか、それが暑熱対策として上手くいっていないことを示すのか?
その判断は?等糞洗いから見えてくることなど教えて頂きたいと思います。
よろしくお願いいたします。
あらまぁ、、お子様でそんなご体験を!
そうですね、搾乳牛でもミネラルが(推奨より過剰に)多すぎると飲水量が低下するという報告がありますので、飲水量少ない☞DMI低い、という事象は我々の認識よりも多く起きているのかなぁなんて想像しています。
夏場の搾乳牛群の軟便傾向を示す場合、こちらでは暑くて少し涼しくなってきてドカ食い、のタイミングが多いのですが、いかがでしょうか。
またそういった場合、糞洗いでも中段が多く、ルーメン内がひっちゃかめっちゃかになっていることも想像しますが、夏場の軟便傾向は大腸アシドーシスによる影響もあるのではと考えています。
発酵タンクがうまく常時発酵していれば、飲水量が増えて中の水カサが増えても
そこから出てくる発酵代謝産物、下部消化管に流れ込むものはそこまで変わらないのではと想像しています
ただそこでやはり粗飼料摂取量の低下などによりルーメンマットの量の低下により下部消化管に流れ込む栄養成分(未消化)も多くなると、下部消化管で消化を否応なしに担う部分が多くなり、大腸アシドーシス→リーキーガットみたいなことが起きているのかなぁ、なんて想像して、夏場は腸を守る添加剤も(お守り)として必要かなぁと思っております
いかがでしょう。
乳牛の糞洗いでは、今年の夏は(もう終わりましたが)まだ中段が多くなるようなケースはないようですね。私の経験ですが。・・
上段が少なく、下段が多くなるようなことが暑熱ではありますか?これは会ってから聞きます
今日は和牛育成で洗ってみました。濃厚飼料は1頭当たり4Kgです、酪農と違いかなり刈り遅れの草ですから予想は出来ますよね。めちゃくちゃ下段が多い感じです。ここも何頭か軟便がいるためなかなか群の濃厚飼料を上げられずにいましたが・・・
アシドーシスではないとの判断で、下部消化管に良いものをやりながら増給すること。
軟便の牛については個体対応として生菌剤の給与をお願いしてきました。
とにかく食べる部分の乾草を十分やることが前提ですが、今日は飼槽に残った粗飼料は茎?
私が勝手に乾草をやるとバリバリ食べていましたが??これかな?人の側面の問題かな?これから経過観察です。牛のルーメンフィル薄っぺらいですね。これで上手くいくかな
糞洗いは面白いですね。
夏の飲水量については了解いたしました。そのように考えていきます。
ご返答ありがとうございます。
まぁそれは羨ましい、こちらは中段ガンガンでした汗
輸入乾草主体のこちらでは、ダイジェスチョンアナライザーでは暑熱時はとにかく中段が増えます、下段(最も網目の細かい段)が増える事はほぼ無いです。
下段(最も網が細かい段)が通常は7割、中段(真ん中の段)2割、上段(最も網目が大きい段)1割あたりがこちらで良い感じの平均的な比率ですが、夏は中段7-8割はざらですね。
これの意味するところ、ルーメン内でいかに粗飼料が消化できずに流れてきているか、ということだと思っています。
和牛育成の粗飼料については、ちょうど他の技術者の方ともディスカッションしていましたが、やはり粗飼料、与えられた中でも選び食い(草の中でも美味しい部分、柔らかい部分)を牛が選べる環境(餌場の環境、給餌の状況)で、ふんだんに草を食べてもらうのがいいんでしょうね。現実的に難しいことも多いですが。
こちらの輸入乾草主体地域なんかでは、乾草TMRなんかも育成にはとても良いように感じます、こちらは設備的に出来る方が限られてしまいますが。
育成の糞洗いも面白そうです。ルーメンを内側からも外側からも強く作っていくことが求められる時期、「胃作り」という言葉を正確に理解し実践すること、とても難しいと感じます。