哺乳方法・ミルクの濃さ

J.Dairy.Sci2023下半期 子牛関連のinvited review、哺乳方法とミルクの濃さについて、読んでいきます。すっかり…すっかり6月半ば。いつもつい楽しいので体力限界ギリギリまで仕事してしまう私(ばか)。

私が忙殺されている間に、JDSでも子牛の面白い文献が次々と出ている。ということで、やっと論文を読む時間が!嬉しいーーーーーー論文タイムは本当に幸せ。しかも、椎名林檎とのっち、という私の好きな二人が知らない間にコラボしていて、「初KO勝ち」という名曲を出していた。

ちょっと!!!Perfumeのノッチと違いすぎるんだけど?!?!どうなってんの?!?!?!こっちの、のっちも最高だよ。。。好きすぎる。。。

椎名林檎とのっち – 初KO勝ち

PVね、のっちがリンゴ様に殴られてから起き上がってからの、「本気が見たい、まだ自分を解き放てる」がね、いいよねぇ、、、。。。ってことで、引き続き、我々も本気出して✊!!勉強していくぞ!!オラオラ✊!!(キャラ変)

哺乳方法の体系的レビュー

Invited review: The effect of milk feeding practices on dairy calf behavior, health, and performance—A systematic review – Journal of Dairy Science

・94の査読付き論文から、哺乳方法が子牛の行動、健康、成績に及ぼす影響 についてまとめた。

哺乳量を増やすと、離乳前の成長・空腹の徴候の減少・遊び運動行動の増加にプラスまたは望ましい影響があったが、スターター摂取量は減少

健康に関する研究では、ミルク給与量による影響は認められず、給与量が多いと下痢になるという一貫したエビデンスは見られなかった

・給与方法を扱った研究ではニップルでの給与クロスサックリング・異常な口腔運動が減少することがわかった。ただしバケツ給与とニップル給与で発育の差は無し

・給餌頻度は、健康と成長にはほぼ影響を与えないよう

👉全体的に、哺乳量を多くして、ニップルで給与する、のが望ましいという結論。給餌頻度はさらなる研究が必要。

Invited review: The effect of milk feeding practices on dairy calf behavior, health, and performance—A systematic review – Journal of Dairy Science

この中でも、特に健康については、”下痢については哺乳量を増やした場合も減らした場合も、それぞれ5報ずつ報告があった”そう。👉業界内では哺乳量を増やすと下痢すると言われているが。どちらかというと哺乳量より代用乳の濃さのほうが影響あるのでは、とこの文献では考察しています。

下痢、肺炎、死亡率への哺乳量の影響

哺乳量についてはこのように記載があります。

・大半の研究(90%)が、離乳前のミルク給与量を増やす発育が良くなると報告。

・しかし、離乳期と離乳後の結果はまちまちで、40%の研究が高哺乳量の子牛の離乳期の ADG が減少したと報告、47%の研究が高哺乳量の子牛は離乳後体重を維持できなかったと報告。

・これらの結果は、ミルク許容量がスターター摂取量に影響するためと思われる。

Invited review: The effect of milk feeding practices on dairy calf behavior, health, and performance—A systematic review – Journal of Dairy Science

面白いのが行動についての記載です。

行動については観察方法や観察期間、ジャッジの方法が文献によって違うことが網羅的な解析を難しくしている様子はありますが、以下のことは統一された見解のようです。

遊び行動哺乳量を増やす増える

哺乳量が少ない子牛は哺乳量が多い子牛に比較して起立している時間が多い

遊び行動給餌時間前後にピークになる、ミルク摂取がポジティブな情動状態を刺激し、 遊び行動を行う意欲が高まる可能性

可消化エネルギー摂取量遊びの時間正の相関

遊び行動は痛みや空腹といった福祉上の脅威によって減少

遊び行動はポジティブな情動状態の指標であることが示唆され、哺乳量に影響される

Invited review: The effect of milk feeding practices on dairy calf behavior, health, and performance—A systematic review – Journal of Dairy Science

引用文献を見ると、遊び行動というのは、例えば、”走ったり、回ったり、バックしたり”という起立、横臥、採食、以外の行動を示す様子です。ミルクあげる前の、🐄うわぁぁ、ミルクゥゥゥゥ!!!きたぁぁぁはやくうう!!くれぇぇぇぇぇ!!!🐄っていう喜びの舞いみたいなのはイメージしやすいです。

基本的には哺乳量少ないほうが起立時間長いというのは実感できる。ミルク少ないとおなかすいてウロウロしてるもんね。。。

でも哺乳量が増えるほど、遊び行動増えるというのは…うーん、、体感的にはイマイチわかりづらいけど、子牛も群ごとに”雰囲気”があって、明るく楽しく活発な牛群と、スンっとした牛群といるなぁと思うので、もしかしてこういうのも影響しているのかな。。

ミルクの固形分濃度について(浸透圧)

Invited review: Total solids concentration in milk or milk replacer for dairy calves – Journal of Dairy Science

過去の代用乳の固形分濃度についてのレビュー。

<前提>北米はホエー・WPCの利用がメインだと思うので、日本の脱脂粉乳メインの代用乳よりは当然浸透圧高くなりがちなので、日本よりも普通の代用乳を使っていても全体的に浸透圧は高いかもしれません。

・子牛の消化管の健康に対する浸透圧の影響と耐性はよく理解されていない

・子牛の発育を促すための代用乳溶解時の最大固形分濃度は明らかになっていない、それには浸透圧を考慮することが必要

代用乳は生乳よりも多くのミネラルと乳糖が含まれる

・乳糖をブドウ糖と交換して代用乳の浸透圧を高めると、浸透圧がさらに上昇し、消化管透過性に影響を及ぼす可能性がある

浸透圧が高まる消化不良を引き起こし、子牛がクロストリジウムなどの病原体に感染しやすくなる可能性

・電解質パウダーを生乳に加える、代用乳を全乳に直接混ぜる、初乳サプリメントを初乳に混ぜるなどの混合ミスや給餌方法は、浸透圧を600 mOsm/kg以上に上昇させる可能性がある

Invited review: Total solids concentration in milk or milk replacer for dairy calves – Journal of Dairy Science

興味深い事項を拾い読み

・Azevedo, 2016a,Azevedo, 2016bは全乳に代用乳を足して固形分濃度増加の効果を評価
・各群は 56 日齢まで、固形分 13.5、16.1、18.2、20.4%の群を作り、最終量を 6 L/d
・離乳前スターター平均摂取量は処理区間で同程度(固形分 13.5 16.1 18.2 20.4% の処理区でそれぞれ 189, 181, 162, 127 g DM/日)
固形分濃度水分摂取量との間に直線関係(13.5、16.1、 18.2、20.4%の群で、それぞれ1.4、1.5、2.1、2.2 L/日)   

固形分濃度が増加すると、ADG および最終体重直線的に増加

・ミルクの固形分を最大 20.4%(6L/日)まで給与しても、離乳前の栄養消化率、ルーメンまたは臓器の発育、または体組成に影響を与えないことを報告

The effects of increasing amounts of milk replacer powder added to whole milk on feed intake and performance in dairy heifers – Journal of Dairy Science    
The effects of increasing amounts of milk replacer powder added to whole milk on passage rate, nutrient digestibility, ruminal development, and body composition in dairy calves – Journal of Dairy Science

浸透圧について・・・reviewにそれぞれ引用文献が紹介されていたので、それぞれ読んでみて勝手に私が文献の内容を少し付け足しています。

・McGuirk, 2003 血液中平均浸透圧は280~290mOsm/kg、牛乳は等浸透圧液(280mOsm/kg)浸透圧が600mOsm/kgを超える液体は慎重に与えるべき、水が入手できない場合には決して与えてはならないと指摘:Calf Problem Herd Investigations (wisc.edu)

・Constable ら2005らによるとミルクの浸透圧が上昇すると胃排出が変化、胃潰瘍との関連を調査したものの明確にはなっていない:Effect of Suckling Cow’s Milk or Milk Replacer on Abomasal Luminal pH in Dairy Calves – Constable – 2005 – Journal of Veterinary Internal Medicine – Wiley Online Library

・Wilmsら2019によると、高浸透圧は細胞接着の構造的損傷を引き起こし、腸管透過性を高め、病原体や毒素が血流に入ることを可能にする:消化管透過性は、3週齢と7週齢に単回投与した難消化性マーカー(ラクチュロース、d-マンニトール、Cr-EDTA)の尿中回収率で評価しており、浸透圧の上昇に伴い、高分子(Cr-EDTAおよびラクチュロース)に対する消化管透過性の増加が観察された:Hypertonic milk replacers increase gastrointestinal permeability in healthy dairy calves – Journal of Dairy Science

・Burgstallerら2017によると、高浸透圧のミルク第四胃排出の遅延と関連する可能性、第四胃膨満発生率増加。第四胃の排出を司る内因性および外因性因子について解説されていて、第四胃排出に関する評価項目として超音波検査とさまざまな吸収検査(d-キシロース、アセトアミノフェン)の使用についても論じている:Invited review: Abomasal emptying in calves and its potential influence on gastrointestinal disease – Journal of Dairy Science

結論は…

・子牛に給与するミルクの最終的な浸透圧をモニターすべし

・基準値はあまり確立されていないが浸透圧が 500 mOsm/kg を超えないように
最終浸透圧が不明な場合、最大固形分濃度は最大 15%、最終浸透圧が 500 mOsm/kg を超えない限り最大 18-20%
.・子牛管理者は常に良質な水を与えるべきだが、高浸透圧に起因する問題を水でごまかしてはいけない

Invited review: Total solids concentration in milk or milk replacer for dairy calves – Journal of Dairy Science

色々な文献をまとめるとこのような感じらしいけど、最大どこまで濃くても大丈夫か、という腸管許容度?はおそらく農場によって多少違うのだと思う。例えば、水が新鮮でいつでも飲めるか?哺乳のやり方、子牛の扱われ方、などによるのだろうか。

review論文を読むと、一つの論文や試験結果を見て盲目的に信用する危険性を改めて実感しますよね。ある牧場で起きたことはほかの牧場で起きる可能性もあるけど、そうじゃない可能性もある。

コメント

  1. あまてん より:

    今日この有益な酪農ブログに出会いました〜✨ありがとうございます

    • Risa より:

      ワ~!嬉しいです。私が忘れっぽいので、自分が勉強したことを忘れないために書いているのですが、どなたかのお役に立つなら何よりです!!

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