超久しぶりの更新になってしまいました…。最近は本当によーーーく寝ていて、よーく寝ていたので全然勉強していなかったんです。。。
そんな私がぼやぼやしている間に、、糞粒度とpHについて2022年の報告が出ていたので読んでみる。
①Variations in fecal pH and fecal particle size due to changes in dietary starch: Their potential as an on-farm tool for assessing the risk of ruminal acidosis in dairy cattle
飼料中のデンプンの変化による糞便のpHと粒子サイズの変化:酪農場における乳牛のルーメンアシドーシスリスク評価ツールとしての可能性
タイトルだけでも胸アツでしょ?!
まずは結論として「糞便のpHと粒子サイズの変化を評価することはルーメンpHとSARAリスクを評価するための、農場での非侵襲的なツールとしての可能性を秘めている」ということです。
概要
以下引用
・フィステルカニューレをつけた、非妊娠、非泌乳牛(つまり、妊娠していなくて、かつ、乾乳した牛ってことですよね)を9頭、2回×6週間の試験にアサイン
・TMR中のデンプンが17.3%、21.9%、28.8%に達した時点で測定を実施(最初は草のみ、そこから配合をTMR中10%ずつ増給)
・各期間の7、11、21、28、35、42日目の、給餌から0、4、12時間後に糞便のpHと粒子サイズを測定。 ルーメン内のpHは15分ごとに測定。
糞のpH
・starch 17.3%は、給餌前の糞便のpHが最も高く👆、その後低下、給餌後12時間で最低値👇(P < 0.05)。
・starch 21.9%は、給餌後も糞便のpHは有意な変化は見られなかった。
・starch 28.8%は、糞便のpHは低下👇、給餌前が最も低く👇、給餌後8時・12時間で最高値👆に
糞の粒度
・飼料中のデンプンを増やすと、糞便中の小粒子(0.5~1.18 mm)の割合は減少、大粒子(>1.18 mm)と可溶性粒子(<0.5 mm)の割合は増加
まとめ
・飼料を与える前に採取した糞便のルーメンpH、糞便pH、糞便粒子サイズの間には、有意な相関関係が見られた:例えば、糞便のpHは最小および1日平均のルーメンpHと相関関係にあり、0.5~1.18mmの糞便粒子の割合は最小および1日平均のルーメンpHと相関関係にある(P < 0.01)
・対数線形回帰分析により、デンプン摂取が糞便のpHに強い影響を与えることが示され、デンプン摂取が1kg増えるごとに、糞便のpHは0.38減少することが明らかになった。
・回帰分析により、0.5~1.18mmの糞便粒子の割合は、飼料中の物理的に有効な繊維とでんぷんの比率に強く依存することが示された(P < 0.01)。
引用終了
試験前提の詳細
細かいことだけど、測定方法や前提などの確認 青線アンダーラインは私のコメント それ以外は引用
DMI
今回搾乳牛ではありません、ホルスタインで非搾乳、非妊娠牛、のためDMIは粗飼料100%の時10.2kg、そこから配合40%で12.4kg、配合65%で11.3kg。そのため、今回の結果を考える上でも、DMIは搾乳牛とは違う、約半分程度の牛の場合、という前提で見るべき👀ですね。
糞の採取
・午前8時の最初の給餌から0、4、8、12時間後に、直腸便約500g採取
糞の測定
・糞便のpHはポータブルpHメーター(Mettler-Toledo, AG; Analytical CH; Schwerzenbach, Switzerland)を使用し、センサーをサンプルに直接挿入、3回繰り返して、直ちに測定
現場での新鮮便の糞粒度測定
・200 g の糞便サンプルを 1 L の水道水に 15 分間浸し、糞便粒子分離器(Analytical Sieve Shaker、F. Kurt Retsch GmbH & Co. KG、ハーン、ドイツ)を用いて湿式ふるい分け法にて測定
・今回はfecal particle separatorとしてRetche社のanalytical sieve shakerが使われていて、 上段2.0mm、中段1.18mm、下段0.5mm。
みんな大好きDigestion analyzer(ナスコ)は3/16インチ、1/8インチ、1/16インチ、インチ表記、わかりづら・・・上段4.7mm、中段3.2mm、下段 1.6mmと、少し今回の試験のものとは異なっています

ルーメンpHの測定方法
・糞便評価を行ったのと同じ期間、Lethbridge Research Centre ルーメン pH 測定システム(LRCpH; DASCOR Inc., Oceanside, CA, USA)を使用してルーメン pH を継続的にモニタリングした。
Dascor社のHP dascor を見るとかなり実績のある企業の様子。pH測定も、1秒に1回のスキャンから18時間に1回のスキャンまで設定できるよう。
結果
特に興味深いのはこちらのルーメンpHと糞便pHの関連を示す2つの図です。
以下引用
①Fig4. 給餌直前に採取したルーメンpHの変数と糞便変数の相関関係
・糞便pHはルーメンpH最小値(r = 0.64)および1日平均のルーメンpH(r = 0.54)と有意な相関関係
・1日あたりのルーメンpHが5.8未満の時間と糞便のpHとの関連性は、比較的弱い(r = −0.31)
・糞の粒子径 0.5 ~ 1.18 mm の割合がルーメン pH最小値 と正の相関(P < 0.01)

②Fig5. 給餌前の糞便 pH に対するデンプン摂取の影響
・回帰分析によると、ルーメン pH最小値 はデンプン摂取量に依存(P < 0.01)
・糞便pHも1日当たりのデンプン摂取量に依存(P < 0.01)
・デンプン摂取量が多い場合、給餌開始0時間後のルーメンpH最小値と糞便中pHの値は近づく
・回帰式からデンプン摂取量が1日あたり2.75kgの場合、糞便のpHは約6.5、最小のルーメンpHは5.8となり、SARAの閾値のpH値と一致

引用終了
以下、赤線部分は考察からの引用
糞のpHって、いつもルーメンpHをある程度反映できているのか?それとも下部消化管アシドーシスを反映しているのか?疑問に思っていました。ある程度、ルーメンと関連しているようです。
まぁたしかに下部消化管アシドーシスになっている状況というのは、そもそも=ルーメン内でもほぼデンプン消化満タンになっていてルーメンpHは低め、なのかもしれない。
考察でも、「飼料中のデンプンの摂取量は、下部腸管に流れ込むデンプンの量に直接的な影響を与えた可能性が高い」という事や、「糞便の低 pH は、発酵の増加を反映している可能性があるほか、後腸における酸の吸収率が低下している可能性」についても言及しています。
また糞のpHは高デンプン飼料給与時は給餌前が最も低かったことから、ルーメン発酵と後腸発酵の時間差を示している可能性についても言及しており、農場で実践する場合、サンプリングは「給餌前!」というのが1つのポイントになるかもしれません。
「糞便のpHが6.48に達すると、最低ルーメンpHは5.8に等しくなり、これは牛のSARAを特定するための重要な閾値、糞便のpHが6.5を下回ると、一部の動物にSARAの症状が現れる可能性がある」というのも具体的な数字が出てきたのを見たのは初めて。
「ルーメン内 pH と糞便の粒子サイズの関連性は、0.5~1.18 mmの割合が 20%に減少すると、ルーメン内 pH の最小値が SARA の閾値に達することが示された」という記載もあります。ただしその0.5-1.18mm粒度、ナスコだと1.6mm以下はトラップされないんや…全部流れていってる…ナスコの下にさらに1,18mm, 0.5mmの篩を付けますかね。
また「0.5~1.18mmの糞便粒子の割合は、peNDFとデンプンの比率に強く依存していることが示された(P < 0.01)」ということも分かっています。
糞粒度はDMIにもかなり影響されるんちゃうの!?と思うので、DMI12-13kgのデータということを念頭におきつつ、、、
でも糞のpHとルーメンpH、デンプンの関係はある程度体感的にも納得いくものではないでしょうか。でもやっぱりここで「反芻」が気になりますよね。搾乳牛でも全く同じことが言えるかはわかりませんが、少なくともこういう前提の場合、こういう結果が出たということです。
糞のpHはある程度ルーメンpHとの関連性がきちんとあるのだなというのは、大きな収穫です。
②糞のpHはデンプンのみに影響されるの?
上記の報告では、そんな風にも思いがち。おそらくpHが低い方に傾く、のはデンプンの影響が強いのでしょう。これは知り合いの先生から教えてもらった岩手県のレポート。BUNのモニタリング,,,というかアンモニア濃度モニタリングとしての糞便pH測定。
引用:岩手県農業研究センター 研究レポートNO.608 受胚牛の血液検査適正値と糞便pH
黒毛和種受胚牛なら血中アンモニア50 μg/dl 以下、=pH6.68以下推奨
ホルスタイン種受胚牛なら100μg/dl、=pH6.39以下推奨

これは糞便pHがアルカリに傾く要因は、血中アンモニア濃度と関連がある、という事だと理解しているので、低いのはデンプン、高いのはアンモニア、の影響なのかなと理解しています。
糞便pH、かなりいろんなことが分かってきたんじゃない?!
③糞のpHは💩後すぐ測定すべし
糞のpH測定は落ちている糞ですと排泄からの時間が分かりません、やはり直接直腸からとって測定すべきなのでしょう。ホルスの結果ですが、排泄後時間がたつほどpHは下がっていくようです。
引用:乳牛の糞の性状及びMUN値の長命連産に適した飼養管理改善への応用

まとめ
糞のpH、思ったよりも色々と状況証拠?!が固まってきました。
糞洗いの際には、pHも一緒に測ってみるとますますいろんなことがわかるかも!

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