ADSA2022 -vol5-

ADSA、まだまだ子牛関連の報告有ります!超豊作!!

最近、サントリーのワインソーダがすごい好きで、毎日飲んでます…暑いと食欲なくなるので、つい、つい、その分、お酒飲んじゃうよねぇ…休みの日に昼間からちびちびお酒飲みながら文献読むのが最高のお休みです…

サントリーワインカフェ白ワインソーダ350ml缶バラ1本
白のほうが好き

そういえば、ちびちびといえば、ちびちび哺乳、今までは北海道だけの流行りという感じでしたが、少しずつ本州にも広がっている気がする。本州では動薬屋さんがサージミヤワキを扱ってないっていうのもあるのかな?

英語でちびちび哺乳ってなんて言うんだろ?suckling slowly…みたいな…??

海外のセミナーとかだと、哺乳ロボットでの哺乳スピードに関する話はたしかhoard’s dairyman webinarで動物行動学のあのゴツッとしたガタイのイイ感じの男の先生(名前が出てこない😿)が話してた気がするけど、飼料効率向上という話は聞いたことなかったような。 日本独自の知見だったら、凄いな!

私が気になってたのは、ちびちび哺乳の提唱者東亜薬品の今井さんが子牛の段階では脂質の燃焼(脂質の代謝経路)って言ってたかな、も、子牛の時は違うんじゃないかという話。たしかに離乳後とは脂肪の供給量が圧倒的に違うので哺乳子牛の脂質代謝は成牛とは違う何かがあるかもっ、っていうのは私も思う、たしかどこかで試験されていると5年前くらいに今井氏のセミナーで聞いた気がするのだけど、どうなったんだろう。。。

どこかで聞いた人はぜひ教えてください。

さて、前置き長くなりました。

Ruminant Nutrition: Calves and Heifers Posters 2


2254T Effects of enriching maternal colostrum with bovine dried colostrum replacer on IgG absorption in newborn male calves.

一言で言うと…(ゲルフ大学とサスカトゥーンコロストラムの試験)低品質な親の初乳(IgG30g/L)に、初乳粉末551g(ヘッドスタートでいうとこの2袋ちょい)を足すと、イイ感じ!

●研究の目的:子牛の血清 IgG 濃度を上げるには、より多くの総 IgG 量を摂取することIgGで、低~中品質の 母初乳 に牛の乾燥 CR を添加して十分な血清 IgG 濃度を得ることができるかどうかを調べた。

●研究のデザイン:出生時体重40-52kgの雄のホルスタイン子牛(n=80;16頭/1試験区)に初乳3.8Lを給与した。試験区は5つ、①30g/L IgG 親の初乳(C1)、②60g/L IgG 親の初乳 (C2)、③90g/L IgG 親の初乳 (C3)、④C1に551gの初乳代用乳を強化(60g/L;30-60CR)、⑤またはC2に620gの 初乳代用乳 を強化(90g/L;60-90CR)

※ここでの初乳代用乳はサスカトゥーン社の初乳の全脂粉乳を指す

40 頭(8/TRT)の子牛にカテーテルを挿入し、アセトアミノフェン入り初乳を与えて、1 時間あたりの第四胃空腸率(ABh)を推定した。ベースラインの血液サンプルの後、初乳給与から 1、2、3、4、5、6、8、10、12、24、36、48 時間目にサンプルを採取した。

●結果:

試験区①30g/L②60g/L③90g/L④30-60CR⑤60-90CR
血清IgG(mg/ml)11.824.335.719.926.9
AEA(%)42.445.143.236.333.4
ABh0.20.10.10.10.1

24時間後の血清IgGは,C1を30-60CRに濃縮すると増加したが(P < 0.01),C2から60-90CRに濃縮すると増加しなかった(P = 0.40).C1を30-60CRに濃縮するAEAは減少する傾向にあったが(P = 0.06)、C2を60-90CRに濃縮する減少した(P < 0.01)。C1を30-60CRに、またはC2を60-90CRに濃縮すると、ABが減少した(P < 0.01)。 30-60CRおよび60-90CRはC3と同程度のABを示した(P > 0.05)。

30-60CRでABが低下したとはいえ、24時間後の血清IgG値を許容範囲にする濃縮の可能性を示した。

●私の思ったこと:マイク・スティール博士のセミナーとかでアセトアミノフェンで四胃からの排出速度などを見ているのがあったけど、今回もそれをやっているらしい。低品質な親の初乳が最も四胃からの排出速度が速いよう。分娩後の初乳給与時間が書いてなかったけど、分娩後●時間って一定で強制投与なのかな?やはり親の初乳C1-C3が吸収効率のAEAが高いですねぇ…これ、30-60CR区とか60-90区って3.8Lの低品質の初乳に初乳粉末をドバドバ入れたのかしら?そうすると、液体の固形分はめちゃ濃くなるよね?それがAEAに影響した可能性はないのかしら??


2255V Performance of dairy calves fed whole milk with total solids corrected according to 2 approaches

一言で言うと…全乳に補正剤を足す方法を比較、毎回全乳のBRIXを測定して足す場合と、毎回固定量を足す場合とで発育に違いはない。

●研究の目的:市販の代用乳補正剤(CC,CP 24.5%およびEE 4.8%)を用いて15%TSに補正した全乳を給与したホルスタイン子牛について,2つのアプローチから成績を評価することを目的とした。

●研究のデザイン:初乳給与したホルスタイン種雄子牛(n=45)を用い、水と配合飼料(CP20%、TDN82%)はフリーアクセスとした。3区に分け、(1)全乳給与補正なし(Control)(2)全乳はに25 g/Lの補正剤を固定用量で追加(Fixed dose)(3)全乳の毎日のBrix測定値をもとに、Brixが13%になるまでに1%増加するごとに10g/Lずつ添加し、TS15%に補正した(Brix)

●結果

補正剤も毎日全乳のBRIXを測定せず、固定量を使用することで、毎日のBrix測定値に基づく補正と同等の成績となり、管理を容易にするために(2)固定用量での使用を採用できることが示唆された。

●私の思ったこと:っというより、補正剤を全乳のBRIX測って毎日調整しても、固定量で入れても同じっという話ですが、そもそも、入れても入れなくても対照区とも増体、体の大きさに有意差がないってことは、補正剤入れる意味とは‥?!この条件の場合は素直に全乳使えばいいんじゃ?!

日本でも全乳に入れるタイプの代用乳ありますよね、高蛋白にする用のやつ。


2256T Performance and health of calves fed milk replacer supplemented with varying levels of lactoferrin from birth to 8 weeks of age.

一言で言うと…1日最大4g程度では8週齢まで代用乳にラクトフェリンを添加しても変化なし

●研究の目的:ラクトフェリン(LF)を代用乳(MR)に添加した場合の子牛の成長、飼料効率、健康への影響を調査すること

●研究のデザイン:ホルスタインの未経産子牛(n = 103)を、出生から 56 日齢まで、無作為化完全ブロック 設計で 4 試験区に分けた。飼料はタンパク質24%,脂肪20%の代用乳(12.5%wt/vol)680.25 g/dにLF(45%純度)0,1,2,4 g/dを添加した

●結果:離乳前期の全期間(d1~49)における MR 摂取量は,L0,L1,L4 と比較して L2 で減少し添加量の影響を受ける傾向があった(P = 0.05).スターター摂取量は影響を受けなかった(P = 0.45)。ラクトフェリン添加により生後1~14日目の成長量は増加する傾向があり(P = 0.06)、L4はL1およびL2に比べてそれぞれ16%および24%ADGを増加させた。しかし、それ以外の期間では、ADGに影響はなかった。

LF の補給は提供された含有量レベルでは、飼料摂取量、成長率、子牛の健康に生物学的に有意な影響を与えなかった。

●私の思ったこと:そっかぁ・・・


2257T Effect of guanidinoacetic acid supplementation on performance of milk-fed calves.

一言で言うと…グアニジノ酢酸の代用乳への給与でスターター摂取量が増える

●研究の目的:グアニジノ酢酸(GAA) の補給が哺乳子牛の成績に及ぼす影響を評価した。グアニジノ酢酸(GAA)は、体内のエネルギー貯蔵物質であるクレアチンの直接の前駆体である。GAAを補給することで、クレアチン供給量を増加させ、動物の成長を促進することができる。

●研究のデザイン:ホルスタイン・アンガス種の子牛 45 頭(5~9 日齢、体重 40.9 ± 3.6 kg)を3区に分け、成長成績を評価した。42日間、1)GAA無添加、2)1g/d GAA(Creamino; Alzchem Trostberg GmbH)、または3)2g/d GAAを添加した代用乳を投与した。1日2回,2.84 Lの代用乳(タンパク質25%,脂肪24%)を与えた

●結果:GAA の増加に伴い、d59 までに体重が直線的に増加する傾向が見られた。0-59日齢でADGはGAAの増加とともに増加する傾向があり、1および2 g/dのGAAでは同様の増加であった。スターター飼料の乾物摂取量(DMI)はすべての期間において直線的に増加する傾向があり、GAAを代用乳に配合すると子牛の増体が増加し、これはスターターの摂取量の増加と関連していた。

●私の思ったこと:日本での飼料添加物のグアニジノ酢酸って使えるのはブロイラーのみっぽいけど、、、クレアチンが増えると、、、、?何がどうなって採食量が増えるのかしら??

※引用※GAA の代謝物であるクレアチンは、クレアチンキナーゼ(CK)によってATP からリン酸を受け取り、ホスホクレアチンになり、高エネルギーリン酸結合の貯蔵物質の役割を果たす。このことから、飼料への GAA 添加による動物の飼料要求率の改善が期待されている。(飼料添加物評価書グアニジノ酢酸より

pc1_hisiryou_gaa_300711.pdf (fsc.go.jp)

2258T BRIX does not accurately estimate immunoglobulin content in colostrum.

一言で言うと…特にIgG40g/L以上の初乳でBRIXはIgGとの相関性が薄い。

(上田コメント、つい文末まで待てずにコメント。相関が薄い、とあるけれど、ここで使っているIgG測定方法が一般的なRIDなどではなくなぜfTIRにしたのか?今回の試料サンプルはIgGが低いものが多すぎないか?まだこの内容を鵜吞みにして初乳全体でこういうことが成り立つとは言えないと思う)

Morrill ら(2012)は、子牛が適切な血清 IgG レベルに達しない主な理由として、初乳の IgG レベルが不十分(<50 g/L)であることを挙げている。初乳の Ig 含有量を推定するために農場で行われている方法には、 Brix 屈折率計がある。

この研究では、初乳サンプルの Brix 推定値とフーリエ変換赤外分光法(fTIR) を比較し、その精度を検討した。初乳全体(n=441)の IgG 含有量は 1.2 から 63.8 で、平均 23.66 ± 0.42 g/L であった。fTIRで分析したIgGレベル(g/L)に基づき、試料は0~6のIgGスコアに分類された。


IgG レベルを比較すると、各カテゴリーで差が見られた(P<.05)、Brix は IgG >40 g/L のサンプルで IgG レベルを過小評価しており、これは初乳の最も重要な範囲である。

Brix は固形分と高い相関性 (0.74) を示し、IgG 含有量とはそのままの値 (0.70) であったが、乾物ベースの実際の IgG 含有量とは相関性が低い (0.40) ことがわかった。

IgGスコアの回帰式:

IgGスコア = -0.89685 + Brix × 0.18523 (R2 =0.42, P < 0.0001)

; IgGスコア = -0.51232 + IgG(現状) × 0.99981 (R2 =0.95, P < 0.0001)

Fourier-transform infrared spectroscopy (fTIR) ってIgG測定にそもそも一般的なの? 
RID(放射免疫拡散法)のキットしか私は知らないんですけど…

●私の思ったこと:出たっ BRIXとIgGは相関してない理論、たしか去年かおととしくらいにもそういう論争になる文献がありましたよね。これは、、、不十分なデータで生産現場を混乱させるのはなかなか罪深いです。Nouriche Nutrition LLC、La Belle Colostrumという2社の会社の人達の報告です。

この論争についてはまた別途…。このデータについては、まずこの表が分かりづらいな…普通にfTIRとBRIX推定のIgGレベルを両方で書いてくれたら分かりやすいんですけど、BRIX値からIgG、一応換算してみましょうか。

Calf Note 199 簡便なBRIX計算表 | うしについて勉強したことを記録していくブログ (calfnutrition.com)

ここのJimのcalculatorを使いました。

Item0123456
IgG(g/L) fTIR6.015.824.534.644.454.262.0
BRIX9.913.315.117.819.421.523.8
BRIXからの推定IgG(g/L)-5.813.523.739.048.059.973.0
fTIR分析値-BRIX推定2.30.8-4.4-3.6-5.7-11
たしかにこうしてみると、IgGの数字が大きくなるほど差は大きくなっているけど…

そもそもfTIRでの分析が妥当なのかっていう疑問。なんでこれまでいろんな報告があるRIDでやらんのや…


コメント

タイトルとURLをコピーしました