今年は特に初乳や移行乳関係多い気がする~!!全然読み終わらない!嬉しい悲鳴です。まだまだいくよ~!!!
Ruminant Nutrition: Calves and Heifers Posters 1
2120 M Colostrum microbiome and plasma metabolome in calves are altered in response to ethyl-cellulose rumen-protected methionine during late-pregnancy. 妊娠後期にエチルセルロースでルーメンバイパス加工したメチオニンを供給すると、初乳の微生物相と子牛の血漿のメタボロームが変化する
一言で言うと、乾乳期のバイパスメチオニン給与は子牛の代謝経路も変える、増体を高める良い方向に
●研究の目的:妊娠後期の母体への Met 供給が、初乳のマイクロバイオームと新生子牛の血漿メタボロームに与える影響を評価した。
●研究デザイン:60頭のホルスタイン牛をブロックデザインで使用し、-28~60 DIMまで対照区、RPM(メプロン)区に割り当てた。RPMは、産前はDMの0.09%、産後はDMの0.10%の割合で給与した。
●結果と考察:DMI 摂取量は同程度であったが、RPM 区から生まれた子牛は累積 BW 増加量が多い傾向(P = 0.07)。
初乳はProteobacteriaとActinobacteriaで占められており、最も一般的な分類群はc_Gammaproteobacteria、f_Ruminococcaceae、o_Micrococcales、g_Lactobacillusであった。科では、Dermabacteraceaeがコントロールの初乳に過剰に存在した(P ≤ 0.05)。 細菌属のうち、LactobacillusはRPM初乳に過剰に存在した(P≤0.05)。
メタボロームプロファイルでは、出生時および離乳前の♀子牛で、RPM区 と対照区に明確に違いあり。42 日齢までは、アミノ酸のミトコンドリア酸化、チアミン代謝、ペルオキシソーム酸化、胆汁酸合成に関わる代謝経路が増加(≥2 倍)に。
妊娠後期のRPM給与は、血漿メタボロームの変化から子牛の離乳前の成長と生物学的に正の関係があることが示唆された。
●私の思ったこと:バイパス蛋白関係の試験では、メニュー全体でのMP中のメチオニン量とか書いておいてほしかったなぁ。。。あと乾乳期のバイパスメチオニン給与ではDMI変化なしっていう結果だったけど、特に初産🐄の子牛についての初乳やメタボロームの数字が出ていたけど、みんな試験🐄は未経産だったからDMIに影響なかったのかな・・??
2121M Varying colostrum insulin ingestion does not affect blood metabolites or immunoglobulin G absorption in neonatal Holstein bulls but affects intestinal development.2121M 初乳のインスリン摂取量を変化させても、新生児期のホルスタイン種雄牛の血中代謝物や免疫グロブリン G の吸収には影響しないが、腸の発達には影響する
一言で言うと…初乳のインスリン濃度が高いと腸の発達にポジティブな影響を及ぼす可能性あり
●研究の目的:
牛の初乳には、生理的よりも高いインスリン濃度(35μg insulin/L)が含まれているが、牛によってその濃度は大きく異なる(5〜263μg insulin/L)。一方、薬理学的なインスリンの投与は、新生子牛に低血糖を引き起こし、インスリン濃度を上昇させて免疫グロブリンG(IgG)の吸収を阻害する可能性がある。そこで、新生児期のホルスタイン種雄牛において、初乳のインスリン濃度が GIT の発達、末梢代謝、および IgG の吸収に影響を及ぼすかどうかを調べることを目的とした。
●研究デザイン:子牛(46.3 ± 0.8 kg、n = 16/1試験区)は、生後3回の初乳給餌(7%BWまたは3.10±0.02L;55g IgG/L;2、14、26時間)、インスリンを基本濃度(BI;16. 8 µg/L)とした対照区、または、初乳のインスリンが基本濃度の 5 倍(5BI; 83.4 µg/L)または 10 倍(10BI; 167.5 µg/L)増加するようにインスリンを添加した区を設定した。子牛の一部(n = 8/処理)は、生後 30 時間に屠畜し、消化管の発達を評価した。
●結果と考察:
血糖値、インスリン、非エステル化脂肪酸およびIgG濃度はインスリン処理による影響を受けなかった(P≦0.95)。腸絨毛の長さは線形に増加し(P = 0.003)、遠位空腸絨毛の幅、陰窩の深さ、陰窩幅は大腸インスリン含有量の増加に伴い線形に増加する傾向があった(P ≤ 0.10)。
よってホルスタイン種雄牛において、大腸インスリン濃度の違いは食後の血中代謝物やIgG吸収には影響しないが、新生児の腸の発達に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
●私の思ったこと:GLPだけじゃない!いろんなホルモンが腸の発達に影響しているのね~、、インスリンはこれだけじゃなくてもっといろんな代謝系に影響がありそう。。。そいえば前に強化哺育でインスリン抵抗性に影響あるない論争もあったよなあ。。。
2122M Investigating the efficacy of using a concentrated, whey-based colostrum to achieve passive transfer of immunity in neonatal Jersey calves.新生児ジャージー牛の受動的免疫移行を目的としたホエイベースの初乳の有効性の検討
一言で言うと、初乳代用乳、濃縮ホエー主体か、純粋な初乳を乾燥させた粉末、どちらがいいの?という話でIgGだけ見れば濃縮ホエーの圧勝。
●研究の目的:ジャージー🐄での受動免疫移行、passive transfer of immunity (PTI)、のための、濃縮ホエーの初乳代用乳 VS 初乳粉末の初乳代用乳 の比較検討。
●研究デザイン:47 頭の新生ジャージー種子牛(平均体重 25kg)に、生後 2 時間以内に 2 種類の初乳のうち 1 種類を給与した。1) 初乳粉末(26.6% IgG、565 g 投与、Calf’s Choice Total Gold, Saskatoon Colostrum Company, CON)、2) 濃縮ホエイ(50% IgG、300 g 投与、Premolac Colostrum Concentrate, Zinpro Corporation, PREM)。両製品とも IgG 源は 100%ウシ IgG 、各 区いずれも IgG を 150g 摂取した。両製品とも給与時は固形分約 25%に調製。
●結果と考察:PREMを給与した子牛は生後24時間の血清IgG値が43.7%高かった(PREM vs CON:24.1 vs 16.7 g/L;P<0.01)。PREMの子牛はCONと比較してAEA(IgG の見かけの吸収効率)32.0%向上した(それぞれ34.6 vs. 26.2%;P < 0.01)。 よってホエイをベースとした 初乳代用乳がジャージー種の新生子牛の PTI を達成し、従来の 初乳粉末 よりも有効である。
●私の思ったこと:えっと、まずジャージー生時体重ちっちゃいな・・・。IgGで比較すると初乳由来の濃縮ホエーが、純粋な初乳粉末より圧勝のようです、これって初乳はカード形成する、しない、どっちがイイの?!議論につながる話で。IgGの吸収効率だけ見れば、カード形成しないほうが良い結果。
ただこれは非科学的な私の根拠のない仮説ですが、哺育期の脂質代謝は牛の人生においてもかなり特殊で、なにか初乳の脂肪がそういった代謝もスイッチングするんじゃないかな、って非科学的ですが想像している部分もあります。哺育期の脂質代謝、、、調べたいな~!!!
2123 M The biological value of transition milk: Immunoglobulin G, insulin-like growth factor-I, and lactoferrin in primiparous and multiparous dairy cows.移行乳の生物学的価値、特に初産牛と経産牛における免疫グロブリン G、インスリン様成長因子-I、ラクトフェリン
一言で言うと:移行乳といっても2回目の搾乳と10回目の搾乳分では有益と思われる生理活性物質の量はかなり異なる、2回目なら1回目の初乳の半量程度はそういったものが含まれるので2回目の移行乳はかなりポテンシャル高い!可能性。
●研究の目的:移行期乳(TM)は、分娩後2 回目から 6 回目に搾乳される乳で、初乳よりも有益な生物活性化合物が少ない可能性がある。本研究の目的は、移行乳中の生物活性化合物の濃度を初乳と比較して明らかにすること。
●研究デザイン:免疫グロブリンG(IgG)、インスリン成長因子I(IGF-I)、ラクトフェリン(LTF)濃度を、初産牛および多産牛を用いて評価した。3 つの異なる酪農場の 初産牛 45 頭と 経産 牛 45 頭(合計 90 頭)から 1回目の初乳、以降は移行乳として2回目の搾乳 と 3回目の搾乳 、および 10回目の搾乳 の牛乳 100mL を採取。
●結果と考察:
3つの生理活性分子の濃度は、初回搾乳時から減少し(P < 0.001)(IgG 110 ± 6.8 g/L、IGF-1 591 ± 23.2 µg/L、LTF 1.0 ± 0. 13 g/L)、10回目(IgG 1.1 ± 3.03 g/L、IGF-1 17 ± 29.3 µg/L、LTF 0.2 ± 0.13 g/L)までは低下、ただし2回目の搾乳の移行乳には1回目の初乳の成分の54%以上が含まれていた。
経産牛の初乳/牛乳は、初産牛よりもIGF-IとLTFが豊富(IGF-Iは326 vs 225 ± 25.6 μg/L、P < 0.01、LTFは0.69 vs 0.45 ± 0.132、P < 0.05)。
初産牛と経産牛の両方の 2 回目の搾乳から得られる移行乳は、初乳の半分とはいえ、ものすごいポテンシャル!
●私の思ったこと:たしかに移行乳という括りでも、2回目と10回目、つまり分娩当日~翌日、もしくは5日目、だとIgG以外でも機能性生理活性物質の量は大分違うんだろうなぁと思っていたけど、こんなに低くなるとは驚き。
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