Calf Note # 227–クリプト最新研究ver1

以下は、Calf Note #227 – Recent research on cryptosporidiosis, part 1 – Calf Notes.com を翻訳したものです。原文著者Dr. Jim Quigley の許可を得て日本語訳を掲載しています。 引用論文の出典元は原文をご参照ください。

結論: 生後1ヶ月未満の子牛の30%近くがクリプトスポリジウム陽性 、またそれより大きい月齢の牛もクリプトスポリジウム陽性牛がおり、子牛へのリザーバーになっている可能性

以下本文


Calf Note #227 – クリプトスポリジウム最新研究ver1

はじめに

この 1 年ほどの間に、若齢子牛と高齢牛のクリプトスポリジウム感染に関する興味 深い重要な学術論文が多数発表されました。 クリプトスポリジウムは子牛の飼育において経済的に重要な病気であるため、いくつかの研究を順番に見ていくことは価値があると思います。
まず、スペイン北西部のサンティアゴ・デ・コンポステラ大学(Universidade de Santiago de Compostela)の研究から。

研究内容

研究者たちは、スペイン北西部にある酪農場(n = 86)と肉牛農場(n = 60)を訪れ、子牛と成牛の糞便サンプル(n = 594)を採取しました。 サンプルはすべて健康な動物から採取されました。サンプル採取時にクリプトスポリジウム症の臨床症状を呈している動物はいませんでした。 サンプルは数日間保存され、その後、分子生物学的手法により、さまざまな種類のクリプトスポリジウムのDNAが分析された。

分析結果

収集した594サンプルのうち、99サンプルがクリプトスポリジウムのDNAに陽性で、有病率は16.7%でした。 45%の農場(64農場)で少なくとも1つの検体が陽性であった。

最も一般的な種は、C. parvum(42/99)およびC. bovis(36/99)であった。

その他のクリプトスポリジウムの種は低い頻度で検出された。 図1から明らかなように、あらゆるクリプトスポリジウムの有病率が最も高かった動物は、生後1ヶ月未満の子牛であった。 クリプトスポリジムが検出されたサンプルの80%以上がC. parvumに陽性であった。

棒グラフ 左から0-1か月齢、1-2か月齢、2-12か月齢、12-24か月齢、24か月齢以上での有病率、
下の円グラフはその月齢での糞中のクリプトスポリジウム種別の分類

年齢が上がるにつれて、有病率は減少し、細菌の種類も変化した。

C. bovis の割合は、1-2 ヶ月齢、2-12 ヶ月齢、12-24 ヶ月齢のグループで増加しています。
大きい月齢の牛は数種類のクリプトスポリジウムが「混在」しており、現実的には最も若い動物への感染のリザーバーと考えることができます。

多くの研究から、C. parvum は幼若子牛のクリプトスポリジウム症に最もよく関連する菌であると報告されています。 生後1ヶ月未満の子牛は免疫系が未熟なため特に感染しやすく、活動性免疫が発達すると、子牛は感染しにくくなると考えられています。

また、健康な動物から採取したサンプルにもかかわらず、かなりの割合で糞便中のクリプトスポリジウムが陽性であったことも興味深い点です。
生後1ヶ月未満の子牛の30%近くがクリプトスポリジウム陽性で、そのほとんどが C. parvum でした。

C. parvum は人獣共通感染症であり、子牛だけでなく、人間にも病気を引き起こすということに注意することが重要です。 従って、感染していない人は、子牛のオーシストに汚染されないよう、特別な注意を払う必要があります。 免疫抑制状態にある人は特にリスクが高いので、若い子牛との接触を避けるべきです。


終わり。今回のサーベイランスの元文献はこちら:Animals | Free Full-Text | The Age-Related Cryptosporidium Species Distribution in Asymptomatic Cattle from North-Western Spain (mdpi.com)

Graphycal abstract

私も昔クリプト関連の調査した時本当に面白いくらい30日齢以降で検出されなくなるので、なぜなんだろう?と不思議に思ってましたが一応免疫が発達していないという理由がつけられている様子。そして、成牛がリザーバーとなっているというのも、銅なんだろうと思っていましたが実際ある様子。クリプト対策って本当に根本的な環境清浄化は、焼き尽くす or 石灰乳で封じこめるか、という物理的対策しかなくて特に冬は対策しづらい。最新の研究を学んで防御に備えましょう。ver2に続く。

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