ADSA2024①

なんと!昨年のADSAのproceedingを読んでいなかったことに気づきました。

なんか色々とゴタゴタしていて、全然勉強出来ていなかったので、やっと落ち着いて勉強出来るかなという感じです。こうして、好きなだけ勉強できるのは、本当に幸せー💕有難い💕💕💕

というわけでもう去年になっちゃいましたが、改めてADSA2024の抄録を読んでいきたいと思います。

Ruminant Nutrition 2: Calves and Heifers and Ruminant Nutrition 3-Minute Poster Spotlights

・タイトル:1240 分枝鎖アミノ酸の添加が離乳前の子牛の血漿中アミノ酸と成長に及ぼす影響

M. Mad ureira Ferreira*1, H. L. Thom2, D. Wilson2, E. A. Sells2, C. C. Mills2, R. A. Molano1, A. F. Ortega1, and F. A. Leal Yepes3, 1Department of Animal Science, College of Agricultural and Life Sciences, Cornell University, Ithaca, NY, 2Department of Veterinary Clinical Sciences, College of Veterinary Medicine, Washington State University, Pull man, WA, 3Department of Population Medicine and Diagnostic Sci ences, College of Veterinary Medicine, Cornell University, Ithaca, NY.

一言で言うと、 BCAAの添加で増体改善!

●研究の仮説:分岐鎖アミノ酸(BCAA; Val, Leu, Ile)は、筋タンパク質の合成と成長に関与する必須アミノ酸(EAA)。離乳前の子牛にBCAAを添加することで、成長が促進されるかもしれない。

●研究デザイン:雌のホルスタイン子牛(n = 12)を2群に分け、生後2日目~離乳するまで、対照区はBCAA無添加のミルク(CON)、試験区は l-Leu 15g、l-Ile 6g、l-Val 9gを1日1回添加したミルク(BCAA)を給与した。

廃棄乳をベースとし、2 日目から 43 日目まで 2.8 L を1 日 3 回与え、50 日目までは 2 回に減らし、56 日目の離乳までは 1 回とした。

●結果と考察:対照群に比べ、BCAA子牛はVal、Ile、Leuの血漿中濃度が高かった(表1)。

LysとMetの血漿中濃度は、BCAA群と比較して対照群で高かった(表1)。

増体に有意差あり(P=0.008)、BCAA 区は 0.73 kg/d、対照群のは 0.58 kg/dであった。

●私が思った事:

まず廃棄乳=生乳ベースなので、生乳のアミノ酸組成がベースにあっても、さらに足して効果が出るってすごいな。N数少ないけど、DGの差も大きい。こんなに変わる?!

代用乳の場合、生乳よりBCAAは少なくなるのか多くなるのか確認したところ、ホエーが多い銘柄だとIleとLeuはホエーのほうが生乳より多くValはやや低いという結果でした。

子牛のアミノ酸要求量はまだまだ不明なのでこうしてコーネルから子牛のアミノ酸に関連する研究が出てきてくれるのは非常にうれしいです!

Calf Note #239 子牛のアミノ酸 part2.代用乳のアミノ酸 | 🐮🐮🐮ushi nutrition lab🐮🐮🐮¥¥


・タイトル:1241  バイパス or 非バイパス酪酸の添加が乳用子牛の成長とルーメン発酵プロファイルに及ぼす影響

D. R. Martínez Mayorga*, K. R. Johnston, and A. H. Laarman, University of Alberta, Edmonton, Alberta, Canada.

一言で言うと、バイパス加工有無かかわらず酪酸はルーメン発酵には同じ影響をするが、バイパス加工していない酪酸は生産性を下げる可能性がある。

●研究の目的:バイパス加工した酪酸としていない酪酸をスターターに加え、子牛の成長とルーメンへの影響を確認すること

●研究デザイン:31頭の哺乳子牛を3群に分けた

(1) 1% wt/wt palm fat as a placebo carrier (CON);キャリアのパーム油のみの対照区
(2) 1% wt/wt protected butyrate (2.5% of product; PRO); ルーメンバイパス加工した酪酸のPRO区
(3) 1% wt/ wt unprotected butyrate (1.5% of product) + 1% wt/wt palm fat (UNP).バイパス加工なしの酪酸とキャリアのパーム油のみのUNP区

●結果と考察:

28日齢 :UNP は CON および PRO よりも高いルーメン pH (P = 0.05)。
42日齢:UNPはCONおよびPROよりもルーメンのプロピオン酸・酪酸の濃度が高値(P < 0.01)。
56 日齢:ルーメン中のプロピオン酸濃度はCON よりPROUNP高値(P = 0.04)。
70 日齢:UNP(P < 0.01)と PRO(P = 0.07)は CON の子牛よりもプロピオン酸濃度が高値
スターター摂取量・体重は、CON ・PRO と比較しUNPが低かった(P = 0.02)。

ルーメンバイパス酪酸とバイパス加工されていない酪酸の両方が、発酵プロファイルに同様の影響を与えるが、バイパス加工されていない酪酸は離乳期の成長成績を低下させることが示唆された。

●私が思った事:

バイパス加工していない酪酸が、スターター摂取量が低かったのは、嗜好性の影響もあるのだろうか…バイパス加工した酪酸でもルーメンの発酵に影響があったのはなぜ…?!!プロピオン酸高くなるのはなぜ・・バイパス酪酸で腸管の絨毛が発達してスターターたくさん食べたから、とかそういう感じ?!


・タイトル:1242 ホルスタイン種子牛の後腸の発達に及ぼす子牛スターター、離乳および酪酸補給の影響

S. G. Sayles*1, A. E. Mark1, R. L. Hiltz1,2, D. E. McCurdy2, S. Moreland3, K. Klanderman3, and A. H. Laarman1,2, 1University of Alberta, Edmonton, AB, Canada, 2University of Idaho, Moscow, ID, 3Adisseo USA Inc., Alpharetta, GA.

一言で言うと、バイパス酪酸の後腸への影響

●研究の目的:本研究の目的は、子牛のスターター摂取、離乳、およびルーメンで保護された酪酸の補給が、乳用子牛の後腸細胞の増殖、バリアーの完全性、免疫反応に及ぼす影響を明らかにすること

●研究デザイン:

36頭のホルスタイン種雄子牛(日齢 = 10.7 ± 4.1日)に1,200 g/dの代用乳を給与、4つの処理群に。
(1) 離乳前:代用乳のみを給与(PRE-M)👉48日齢で屠畜
(2) 離乳前:代用乳、乾草、スターターを給与した群(PRE-S)👉48日齢で屠畜
(3) 離乳後:代用乳、乾草、スターターを給与した群(POST-S)👉70日齢で屠畜
(4) 離乳後:代用乳、乾草、離乳移行期のみ酪酸 1%wt/添加スターターを給与した群(POST-B)👉70日齢で屠畜

●結果と考察:

遺伝子標的はRT-qPCRで、タンパク質標的はELISAで評価し、データはSASのGLIMMIXで解析した。
・免疫マーカーであるIL17A(P < 0.1)、TLR4(P < 0.01)、TLR10(P < 0.05)の発現は、組織の種類とは無関係に、PRE-Mの子牛で上昇
・盲腸では、IL17A(P < 0.01)、TLR4(P < 0.0005)、TLR10(P < 0.005)、および腸細胞増殖マーカーであるMKI67(P < 0.05)とPCNA(P < 0.1)がアップレギュレート

・増殖マーカーであるCAT(P < 0.001)とHSP70タンパク質(P < 0.1)は、近位結腸で高かった
・バリア完全性マーカーCLDN1(P < 0.05)は近位結腸で最も高く、OCLN(P < 0.05)は盲腸で最も高値
・血清アミロイドA濃度は3週目から5週目にかけて減少した(P < 0.0001)


これらのデータは、スターターが後腸の炎症性遺伝子発現を減少させることを示唆するが、離乳移行期も酪酸補給も後腸の腸細胞増殖、バリア保全性、炎症には影響しなかった。

●私が思った事:バイパス酪酸なんて後腸の発達やバリアに良いのかなと思っていたけど、そうでもない様子…。給与期間も影響しているのだろうか。搾乳牛でも後腸アシドーシス、リーキーガット、などトピックになっているけど、子牛でも同じなのかな?




もう1年前になっちゃってるけど、なんか酪酸、流行ってたのね?!

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