まだまだ続く!
今日は、Trouw Nutritionの研究者チームの報告を2報(研究は1本でそれを分けて報告している感じ)紹介します。わたし、Trouw Nutritionってなんか好きなんです。
マイクスティールとかと組んでかなりガッチリ研究もやってるし、それをパンフレットで酪農家に広報したりyoutube出したり、研究・開発・エクステンションまで頑張ってるんじゃないか、という私の中で、勝手に、結構イケてるメーカーってイメージ、カナダで実際どうかは全く知らないんだけど‥‥。
例えばこれとか。
生後2-4か月齢まで、ドライTMR推奨、配合85%+15%チョップした乾草ストロー、それでDG1.38kg目指せ!体重的に20-40kgアドバンテージになるぜ!!っていう。結構これ見た時、しかも、結構前だったので、えーー?!離乳後もそんなやり方していいんだ?!という、かなり驚きでした。
本題に…今回は2報だけど、試験自体は1個なので、同時並行で‥
その1 育成期
その2 初産分娩以降の成績
◆試験方法
・ホルスタイン雌子牛(n=86)を2群:代用乳8 L/日のELE区、4 L/日の代用乳のRES区に分けた。
・生後2~49日目:代用乳(150 g/L、CP24%、EE18%、乳糖45%)を給与、49日目~半量、56日目で離乳。その後の育成の栄養管理は同等。
結果は分けて2報で報告されています。まずひとつめ。
①哺乳期代用乳給与増👉代謝プロセスに持続的な影響はある、が育成中に主だった成績に差はなし
・ELE群は離乳前のADGが大きく、70日齢での体重が9kg増、ただし体重は330日齢で有意差なし、初回授精月齢、受胎率、受胎までのAI回数に差はなかった。
・330日齢の血清メタボロームから、カルニチン、グリセリドリピド、プリン代謝が離乳前の栄養状態によって有意に影響を受けると予測され、長期的な代謝プログラミングを反映した。
・生後370日齢、グルコース注入後20分間の血中インスリンレベルはRES群で高く(10.3 ng/mL vs. 7.7 ng/mL)、インスリン感受性は低かった。
・離乳前の子牛に代用乳給与量を増やすと、代謝プロセスに持続的な影響は見られたが、成長や繁殖における差はなかった。試験頭数が少なかったことが原因である可能性。
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◆イントロ(意訳) 哺乳量を増やすことで成長促進、初産月齢短縮、初産乳量アップ、と数々の良いことがあるけど、特に乳生産との関連は代謝プログラミングとかって漠然と説明されていてその辺の詳細メカニズム不明なのと、あと、インスリン抵抗性への影響が懸念✋
◆仮説:離乳前の栄養供給量の増加は、代謝に長期的な影響を与え、過去の研究で報告されてきた哺乳期増体アップ👉初産乳量アップ、を説明する一因となる、はず。
◆方法(追記):
1)生後370±12日にインスリン修飾静脈内ブドウ糖負荷試験(IM-IVGTT)を実施:試験1時間前に、各頸静脈にカテーテルを1本装着、IM-IVGTTはStanley et al., (2002)で記述された手順と同様に実施、0分時点で体重1kg当たり300mgのグルコース(30%グルコース溶液、Eurovet社、オランダ・ブラデル)を初回静脈内投与し、20分後に体重1kg当たり0.03IUのウシインスリン(Hybri-Max社、 Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を投与
血液サンプルは反対側の頸静脈カテーテルから−15~120分(グルコース投与開始時点を基準)に採血、血漿グルコースおよびインスリンを分析。グルコースはthe EnzyChrom Glucose Assay Kit(BioAssay Systems, Hayward, CA)、インスリンはthe Mercodia Bovine Insulin ELISA kit (Mercodia, Uppsala, Sweden)を用いて、Trouw Nutrition R&D研究所(Boxmeer, the Netherlands)で分析
2)血清メタボローム分析:50 頭の血液を生後 330 日目に頸静脈より採血、Metabolon Inc. (Durham, NC)に依頼
◆結果:
・ELE区は代用乳を多く摂取し、結果、スターター摂取量は少なく、体重・ADGは大きくなった。70日齢時点で、ELE区の体重は9kg有意に大きかった(P < 0.001)。生後330日齢でRES区とELE区の体重差は7kgであったが標準誤差(SEM)が大きく有意差無し(P = 0.30; 表2)。育成期の繁殖成績には影響なし。
・メタボロミクス解析で、計779種類(命名済み582、未命名197)の代謝物が同定された。離乳前の栄養摂取量により、生後330日時点で14種類の代謝物に有意差がみられ、離乳前栄養の違いはカルニチン代謝、プリン代謝、グリセロ脂質代謝の3経路に有意な影響を及ぼすことが示唆された。
◆考察:
・増体について:330日齢では、70日齢で報告された群間絶対差(330日齢:7kg差、70日齢:9kg差)と同様の絶対差が認められたにもかかわらず、体重の差は有意差なしに👉n数不足?
・生後 2 週から 14 週にかけて、雌牛は生殖管の急速な発達を経験すると予想され、その過程では子宮径と卵胞サイズが大幅に増加する(Honaramooz et al., 2004; Atkins et al., 2013)ことが報告されているので、哺乳期栄養を高めることで春季発動が早まるのでは?という筆者らの予測ははずれ、繁殖成績に影響は見られず。👉育成期の発育が両区良かったこと、および、n数不足?
・哺乳期の代用乳多給は、インスリン抵抗性に影響があるという先行報告あり(Vicari et al., 2008; Bach et al., 2013; Pantophlet et al., 2016a)、が、今回の試験では生後数週間のRES区とELE区の雌牛間でグルコースおよびインスリン動態に差はなかった。
👉研究間の重要な相違点は、子牛に多く哺乳しはじめる日齢か。本研究およびMacPherson et al. (2016)では出生時から代用乳多給したが、他の研究では生後2週間以降に高レベルの代用乳給与を開始している。我々は、生後数日間が環境への適応と発達において極めて重要、これが新生子牛が直後から代用乳を多量摂取してもインスリン抵抗性を示さない理由であると推測。
・メタボローム解析:330日齢ではわずか14代謝物(同定代謝物全体の1.8%)のみが有意差あり。離乳前栄養の影響が持続した代謝物は、カルニチン、グリセロ脂質、プリン代謝に関連するもの。
👉哺乳期の高栄養が①プリン分解および窒素利用に持続的な影響、②カルニチン増加と長鎖アシルカルニチンの減少傾=β-脂肪酸酸化能力の向上を示唆する可能性、③アジピン酸の減少およびその他のジカルボン酸脂肪酸の低値傾向=ω脂肪酸酸化の需要低下を示唆しβ酸化能力の高さを反映している可能性
まぁまぁ、育成の繁殖にほぼ影響ないっていうのはうん、まぁ、そうかもねって感じだよね。あとは長期的になんか影響ありそうだけど、まだもやっとしてる。そんな段階でしょうか。これがそのイチ。
あとは、インスリン抵抗性について…ヨーロッパの研究者たちは代用乳多給でインスリン抵抗性に影響があるって言っていて、今回もそうだけど、カナダのチーム、マイク・スティールとか、はそんなん無いよって言ってる。
ADSA2024②Ruminant Nutrition1:Calves and Heifersその1 | 🐮🐮🐮ushi nutrition lab🐮🐮🐮
直近でもADSA2024で研究されてて、脂肪との関連性が報告されているようです。今のところ、そこまで、気にしなくて・・いい・・??
日本でも、基礎研究は進められているようです。
VII-20-31 日本畜産学会第131回大会:乳用子牛におけるインスリン感受性の週齢変化
体重の差が育成期でも続いたけど、有意差無しは頭数が少なかったからかな?という考察。またメタボロミクスは、こういうめちゃ細かい分析は、生体で何が起きているのか具体的に本当に推定できるのか??といつも不思議に思ってしまいますが、おおかた、哺乳期に代用乳給与量を増やすと、脂質関連の代謝を変える可能性、がありそう、という感じのようです。
②哺乳期代用乳給与増👉初産時DMI↑乳脂肪↑2産目CMY↑初回授精受胎率↑3産目以降淘汰率↓
その2です。これこれ!!これだよーー💕皆さんに紹介したかった本丸は💮💮
・初産期において、ELE区は、RES区と比較して、高いDMI(+0.7 kg/日)、高い乳脂肪収量(+50 g/日)、高い乳脂肪含有率(+0.24%)を示したが、飼料効率は低かった(−0.04)
・2産目、脂肪・タンパク質補正乳量(+1.8 kg/日)、乳脂肪収量(+115 g/日)、乳脂肪分(+0.22%)、飼料効率(+0.06)のすべてがELE区で高かった
・ELE区は2産目の初回交配受胎率が高かった(40.7% 対 13.0%)
・ELE区は3産目以降の淘汰の可能性がRES区に比べて半減
・哺乳期の栄養が、分娩後60 日時点で影響を与えた主要な代謝経路は、ピリミジン、スフィンゴシン、グアニジノ、アセタミド、プリン代謝、トリカルボン酸回路 👉哺乳期の栄養状態による代謝の違いは成牛期まで持続
・試験区間の代謝の差は、成牛期まで持続、哺乳期に十分な栄養供給を受けた牛の成牛になった後の生産性向上と回復力の説明につながる可能性を示唆
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◆イントロ(意訳) 子牛では、離乳前(哺乳中)の栄養と短期的な健康状態の関連性は広く認識されており、低栄養摂取は成長不良と免疫機能障害を引き起こす。しかし、離乳前(哺乳期)栄養と、その後の繁殖、将来の生産性、代謝の健康を結びつける根本的なメカニズムについて、まだ十分に解明されていない。哺乳期の代用乳供給量の差が、搾乳牛の成績へどのように影響するか、理解を深めることを目的とする。
◆仮説:より高い哺乳期の栄養供給が、搾乳牛のエネルギー代謝を改善し、結果として乳量増加と淘汰率低下をもたらす。
◆方法(追記):哺乳期、育成期の飼養方法は前述のとおりで割愛、Trouw Nutrition Dairy Research Facilityで実施、a slatted floor.なフリーストール牛舎、ヘリングボーン式搾乳パーラー(2×6台)で1日2回(約0500時、1700時)搾乳。搾乳牛群はPMR(RIC給餌機)+配合給餌((Fullwood Packoのフィードステーション)飼料原料の全化学分析は、Eurofins AgroによりNIRを用いて実施。
・搾乳後牛の体重を測定し、自動BCSシステム(DeLaval, Tumba, Sweden)を用いてBCSを自動記録した。
・血清メタボローム解析は、初産期の泌乳日数60日目(DIM)の10:00~12:00に採血を実施し、血清を凍結保存後、Metabolon Inc.にて分析。
◆結果:
・離乳開始前のADGはELE区で0.79 kg/日、RES区で0.49 kg/日、P < 0.01
・生後70日齢での体重(BW)も高くなった(ELE区94 kg vs. RES区85 kg、P < 0.01)
・1産目:DMIはELE区で高、(ELE区19.3 kg/日 RES区18.6 kg/日)P < 0.01、フィーダーでの濃厚飼料摂取量は有意差無し。日乳量に差はないが、ELE区で乳脂肪収量が増(+50 g/日、P < 0.01)→乳脂肪含量増加(ELE区4.57%、RES区4.33%,P < 0.01)。体重は差はないがBCSはELE群で低値を(3.22 vs. 3.30, P < 0.01)、飼料効率(FPCM/DMI比)はELE群がRES群より低値(1.54 vs. 1.58, P < 0.01)
・2産目:ELE群のDMI増加量(+0.7 kg/日)は持続したがその差は統計的に有意差無し、FPCMはELE区で1.8kg/日増加(乳脂肪収量の増加:ELE区+115g/日)、飼料効率もELE区が優れた(ELE区1.56 vs RES 1.50,P<0,01)。乳脂肪含量もELE区4.61%、RES区4.39%と高かったが、乳糖含量はELE区のほうが低かった。またELE区のBCSの低値傾向は続いた(3.05 vs 3.14,P=0.1)
・繁殖:初産時の繁殖成績に差は無し、2産目でELE群の初交配受胎率はRES群より高かった(40.7% 対 13.0%;P = 0.03)
・淘汰率:ロジスティック回帰分析による生存率では有意差無し、Cox比例ハザード回帰分析(時間の要素も考慮した分析)では以下の通り、ELE区がRES区に比べて3産目以降生き残る可能性は有意に高くなり、淘汰リスクは約半分(3産以降のハザード比が0.49、0.44、0.46のため)例えば3産目ならELE群の淘汰リスクはRES群の約49%という意味。
ハザード比(HR)=淘汰の危険度の比で、HRが1より小さい =ELE群の方が淘汰されにくい
分娩まで生き残る ハザード比(HR) 95%信頼区間 P値 1産目まで 0.46 0.09–2.45 0.36 2産目まで 0.40 0.15–1.07 0.07 3産目まで 0.49 0.24–1.00 0.05 4産目まで 0.44 0.22–0.86 0.02 5産目まで 0.46 0.24–0.87 0.02 ちなみに淘汰理由上位3位: ・代謝:初産分娩後60日の各区のメタボローム解析の結果を、enrichment and self-contained pathway testingにかけた。アミノ酸(AA)、炭水化物、脂質、ヌクレオチド代謝に関連する代謝産物がELE区とRES区で差が見られた。そこから、有意に影響を受けると予測された6つの主要な生物学的プロセスは以下6つ:ピリミジン代謝(シチジンおよびウラシルを含む)、スフィンゴシン代謝、グアニジノ・アセタミド代謝、プリン代謝(ヒポキサンチン、キサンチン、イノシン、グアニンを含む)、脂肪酸代謝(分岐鎖アミノ酸代謝を含む)、トリカルボン酸(TCA)回路。
◆考察:
・結果、ELE区はRES区と比較し、初泌乳期においてDMI、乳脂肪収量、乳脂肪含有量が高く、2産目にはFPCM、乳脂肪収量、乳脂肪含有量が高いことが示された。特に、ELE区が2産目に初回受胎率が高く、3産目までの間における淘汰率が低かった点である。
・乳脂肪収量の差→離乳前の栄養摂取による脂質代謝の変化が泌乳期まで持続した結果か
・ELE区にて2産目までBCSが低い→RES区と同等の体重であったが、離乳前の栄養状態が体組成とエネルギー配分に長期的な影響を及ぼす可能性を示唆。飼料効率の変化(初産期では負、第2産期では正)が裏付けとなる。
・育成、1産目の繁殖成績に影響はなく、2産目の繁殖成績がELE区で高かった理由:離乳前の栄養摂取が生殖に影響を与えるメカニズムは、おそらく多面的。代謝、内分泌、エピジェネティックな要因の相互作用か。
・ELE区で淘汰リスクが低下したことは、今回の牛群全体の淘汰理由は牛の固有要因である繁殖能力と健康状態の低下であり、離乳前の栄養状態が免疫に作用したのではないかと疑うが、栄養と免疫の関連は種々の報告があるため更なる研究が必要。
・メタボローム解析:クエン酸回路、脂肪酸代謝、プリン代謝、グアニジノ・アセタミド代謝、スフィンゴシン代謝、ピリミジン代謝が、離乳前の異なる栄養摂取レベルによって影響を受ける主要な代謝経路であることが示され、これらの代謝の変化は、離乳前の栄養摂取が代謝に長期的影響を与え、生産性能と淘汰率に大きく影響することを示唆。
エネルギー配分、energy partitioning、にまで影響するんだ!
エネルギー配分については、とても興味を持っていて、これは遺伝とホメオレシスが大きく影響すると思っていました。哺乳期栄養でもこれを変えることが出来る、可能性、があるとしたら、滅茶苦茶面白いなぁ。絶対あると思います❣❣
繁殖成績と淘汰率について、やはりまだ細かいメカニズムは分からないけど、育成以降、同じように飼ってもこうなる!っていうのはなんとなく、納得できます。哺乳期、概ねみんな健康ですくすく育っている牧場だと、なんかそのあとも大体、すくすくしてるもんな(雑)。
ただ、それを実際に、この頭数で何年もかけて試験したのが、本当にすごいな❣❣❣餌会社で大学と一緒にここまでやっちゃうTrouw Nutrition、やっぱり気合を感じちゃうよ。いくつか、育成期の体重が有意差なしなどは、頭数が少ないせいかな、みたいな考察をされていました。こんな2群合わせて90頭程度でもまだ頭数が少ないとか、エー・・・・うおーーー・・・・アメリカーーって感じ。日本だったらなかなか難しいよねー。。
哺乳期の栄養が、その後の生産性に及ぼす影響について、だらだらと書いてきました。ポジティブな影響があるとはずっとメタ解析などで言われてきたけど、ちゃんとそれを同じ牛で追跡した報告も出てきて、胸アツ。すごいなぁ。きっとまだこの分野はこれからもザクザクデータが出てくるでしょう。
でも、乳量が馬鹿みたいに増える、っていう感じじゃないのが、今回2報の現実的な結果で、実際に測していて納得感もあるのではないでしょうか。
基本は、哺乳期・育成期の増体が良いと、それは初産の分娩時体重が大きいから乳量出るよね、っていう事もあるから、哺育育成期しっかり大事、ということに、加えて❣❣
それ以外の、エピジェネティックな?!作用というか、代謝への影響だったり、エネルギー配分への影響も、ある可能性があるよ!!というのが、今回の2報でした。おなかいっぱい!!
でもまだまだ、読み切れていない面白そうな論文があるから、一生懸命読まねば。
実は最近引っ越して、近くの川でハゼが釣れるんですね、しかも時間を選べば入れ食い。最&高!!
徒歩数分で釣り三昧なんて、この世の天国やんけ…でも今年のハゼが小さくて、さばくのがちょっとめんどくさい。

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