後継牛哺乳(黒毛) 和牛子牛の育て方

先日はホル育成の話を書いたのですが、今度は黒毛の後継牛について、特に哺乳。

和牛の哺育について、というのは海外知見がないので国内で試験するしかなく、特に雌、後継牛の育て方、というのはこれまで乳牛ほど注目されていなかった気がします。

代用乳の多給で初産月齢短縮化

代用乳を多給して黒毛和種メス仔牛の初産分娩月齢の早期化に成功 | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY) (kyushu-u.ac.jp)

今日紹介する内容はこちら

概要は、本研究は、生後3日齢の黒毛和種メス仔牛51頭を3種の異なる代用乳多給プランで飼養管理し、増体および繁殖成績を検討しました。3種類の代用乳の多給プランの違いによる初産分娩月齢の比較では、最も早期化できたプランでは21.5か月齢となり、代用乳の多給プランによっては全国平均よりも3か月短くできる可能性も示唆され、新生仔牛にも問題はありませんでした。

一定水準以上の代用乳を給与すると繁殖の準備よりも成長にエネルギーが分配され、初回AIから妊娠までに必要な日数が増えてしまう可能性が示唆されました。

代用乳を多給して黒毛和種メス仔牛の初産分娩月齢の早期化に成功 | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY) (kyushu-u.ac.jp)

代用乳の多給で早く大きくなり、分娩月齢が短縮というのはなんとなくよくわかるストーリーですが、黄色ボーダーラインの一定水準以上の代用乳を給与すると、逆に繁殖成績が結果的に悪くなるというのはとても面白いなと思いました。

具体的にどんなミルクをどのくらいあげていたのか、どんなプランで、繁殖成績はどうだったのか?という詳細についてみてみましょう。

詳細 黒毛和種雌子牛3日齢、1群15-18頭、3日齢で1日3L給与から始まり90日齢で離乳、代用乳の濃さは200g/L、スペックはCP25%、脂肪21%。

(1)3日齢~20日齢まで段階的に1Lずつ増やし21日齢~9L/日を60日継続、81日齢から87日齢で3Lまで段階的に落とし、90日齢に離乳(9L60日区)

(2)3日齢~20日齢まで段階的に1Lずつ増やし21日齢~9L/日を41日継続、その後段階的に、7L/日を10日間、5L/日を10日間、3L/日を10日間で離乳(9L41日区)

(3)3日齢から段階的に増給し、9-30日齢は6L/日、31-70日齢まで7L/日、その後は5L/日10日、3L/日10日間で離乳(7L40日区)

その後同じように育成し、体重270kg以上、体高116cm以上をAIの条件とした。いずれも10か月齢時に種付け可能な水準に達していた。

繁殖成績)

初回AI月齢 (9L*60日区)10.4 (9L*41日区)10.5 (7L*40日区)10.8  *P値は<0.01

妊娠までのAI回数  (9L*60日区)2.5 (9L*41日区)2.8 (7L*40日区)1.9   *P値は0.14

初回AI~妊娠まで(月) (9L*60日区)5.0 (9L*41日区)3.0 (7L*40日区)2.9   *P値は0.07

初回分娩別月齢  (9L*60日区)23.1 (9L*41日区)21.5 (7L*40日区)21.7   *P値は0.14

👉黒毛和種子牛での代用乳多給で、早期に分娩させることが可能に

👉その中でも最大7Lの給与プランが、繁殖成績面から有効な可能性が高い

Effects of feeding high volumes of milk replacer on reproductive performance and on concentrations of metabolites and hormones in blood of Japanese black heifer calves – Taguchi – 2021 – Animal Science Journal – Wiley Online Library

もちろん離乳もきちんと上手くいって、管理が最適な状態での、哺乳量の試験ですので、どこでもこれが当てはまるわけではないとは思いますが、代用乳多給が多い昨今、繁殖牛にとって、何が一番良いのか?というのを考えさせられる結果です。

和牛繁殖後継牛の育成期の飼い方

意外と後継牛の育成方法について書いてあるものって少ないですよね。

あまり試験などもされていない。配合量を少なく、粗飼料をふんだんに、という飼い方がポピュラーすぎて、試験するほどでもないという感じなんでしょうか。

個人的には、乳牛の育成方法で耐用年数が変わるという試験報告もあるので、和牛繁殖でも育成期の飼い方がどこまで、その後に影響するのかは、是非長いスパンでの試験をしてみたいところ。CPレベル、エネルギーレベル、いずれも。

三重県の資料をご紹介します。

和牛繁殖・育成マニュアル (lin.gr.jp)

乳牛育成牛では、搾乳牛になったときにたくさん食べられるようなルーメンを作っていくという意味で育成期からしっかりDMIを上げていくという意識があると思うのですが、、、

和牛繁殖ではそんなに成牛になってもDMIを上げたいっていう要望はないと思うので、そうすると、いかに初産月齢を早めるか、かつ、その後の繁殖成績良いまま長く飼えるか、健康な子牛を産めるか、というのが育成期の飼い方を試験していく上でのKPIになるんでしょうかね。

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