最適な去勢時期とは

去勢って早い方が人も牛も楽だと思うけど・・・

前から疑問に思っていたのが、なぜ豚では生後間もなくに去勢して問題ないのに、牛は数か月たってからやってるんだろうということ。生後すぐ、ピッとやれたほうが、絶対お互い楽だよな・・・

牛の場合、早くに去勢すると尿管の発達に影響し尿石症の発症リスクが上がるというように記載されていることが多いんですが、本当にそうなんでしょうか。なんで豚はならいのに、牛はなるんだ・・・体の大きさだとか肥育期間の違い・・・?

牛の場合は品種によってさらに実施時期が異なる印象で、ホル雄は1-3か月、交雑は3-5か月、黒毛和種は4-6か月といったとこでしょうか。たしかに、同じ餌をあげてても黒毛が一番尿石になりやすく、次に交雑、最後にホルスという印象はあるので、やはり尿石を加味するとこういう月齢設定になるんでしょうか。

個人的にはあまり関係ないのではと思っていたので、現役時代は交雑なら離乳後すぐ(2か月齢)~3か月齢あたりで実施していましたが、それで尿石になりやすくなった印象はないです。ただしせいぜい2~300頭の話ですし、肥育期まで追いかけれていない子もいるので、ほんとに”印象”での話になってしまうんですが・・・。

調べてみた

肥育では鉄板の「てらさんの和牛肥育マニュアル 俵牛づくりに挑戦しよう!」

こちらではP206に

(黒毛和種)早い去勢は尿道の発達を阻害するので生後4か月以降に去勢することが望ましいでしょう

とあります。

つぎに超分厚い「肉牛大辞典」

去勢は肉質の向上と、管理とくに群管理の容易さを目的とし、一般に、これによる影響の少ない哺育期に行われる。哺育中の去勢は精巣が未発達であるため処置が簡単で痛みが少なく、発育にそれほど影響せず、早くに中性を呈して、資質が向上し骨も細くなり外貌上雄相が出ない。また、屠殺時の枝肉歩留まり、皮下脂肪の付着、筋肉内脂肪交雑が、離乳後に去勢する晩期去勢よりすぐれている、などのことによっている。 -中略ー このようなことから、ふつう生後2-3か月で去勢が行われている。

えーーーーーっ、そうなの?!とビックリしこのページの筆者と執筆時期を確認すると、執筆(1983年岡山県和牛試験場 黒田昭昌氏)とこと。基本的に黒毛和種の育成について記載されている流れでこのページなので、いきなりホルス肥育素牛の話をするわけもないだろうから、黒毛の話だと思われるのですが、1983年には黒毛和種でも哺育期に去勢をするのが一般的だったんだろうか・・・

交雑の場合「F1生産の理論と実践[和牛と乳牛の交雑利用]」

この本も1999年版ですが、P271にキロサ肉畜生産センターさんの体系について紹介されており

尿石症対策も考慮して、導入後4~5か月で体重150kgを目安として観血去勢を実施している

とあります。

家畜診療2014年にて黒毛和種子牛、去勢早いほど増体良い

125日齢以下で去勢をした場合増体がもっともよい

去勢時期が早いほどDGは有意に高まり、結果出荷体重が大きくなった

家畜診療2014年9月黒毛和種子牛の市場出荷体重と取引価格に及ぼす若齢期の疾病罹患および去勢時期の影響

アメリカでは・・・

アメリカの獣医師へのサーベイ。誰が去勢をやることが多いか、またその場合の牛の体重は、というのが下のグラフで、多くの生産者(Producer)が90kg未満なら自分でやっちゃうそうです。アメリカだから肉牛の品種は・・・アンガスとかヘレフォードとかでしょうか。

A survey of castration methods and associated livestock management practices performed by bovine veterinarians in the United States - PMC
Castration of male calves destined for beef production is a common management practice performed in the United States amounting to approximately 15 million proc...

ミシシッピ大学エクステンション

離乳前にやっちゃうのが楽なんじゃない、大きくなってからやるとストレスホルモンの値も上がるし・・・というようなことが書いてあります。

https://extension.msstate.edu/sites/default/files/topic-files/cattle-business-mississippi-articles/cattle-business-mississippi-articles-landing-page/stocker_aug2011.pdf

まとめ

結局、いつが黒毛和種において最適な去勢タイミングかというのは分からないんですが・・・。昔は哺乳期に実施していたらしい。今は尿石予防で、4か月齢以降~というのが一般的。ただし最近の調査でも125日齢までにやったほうが増体は良い。またほかの品種、特にアメリカとかでは哺乳期~90kgでの去勢も一般的、という感じでした。

昔の育成の餌がどんなだったかは分かりませんが、自家配とかで自前で給与していたらもしかして、ふすま多給なんかもあって、よりいっそう今より尿石になりやすい時代背景なんかもあって、早く去勢するとより尿石になりやすかったりしたのかな……なんてことも想像するんですが・・・。今度、馬喰さんに聞いてみよう。

去勢についてはきっとみんな色々、経験談があって、各地域に論文にするほどではないか、と眠っているデータがたくさんあるんだろうなぁ。。。前に九州の共済の獣医さんの報告で黒毛和種で生後1か月齢で実施しても尿石にならなかったみたいな報告を見た気がするんですが、改めて探しても見つけられませんでした・・・。

その他

ゴムリング VS 観血去勢 ⇒ 観血去勢のほうがDG高

http://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/seika/kyushu_seika/2003/2003197.html

去勢方法の種類と特徴はシェパードさんのHPに詳しく載ってます:

休題 ―去勢あれこれ(1)― | 有限会社シェパード中央家畜診療所
(有)シェパード中央家畜診療所がおくる松本大策のサイトです。スタッフによる様々な情報の発信、採卵・受精卵移植のご紹介等みなさんといっしょに幸せな牛飼いできるように頑張って参ります。

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